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メンタルリハーサル法とは?
メンタルリハーサル法とは、吃音者の心理面に着目した手技の1つです。
吃音は治療方法が確立されておらず、完全に治す方法が現代医学では存在しません。
そのような中でメンタルリハーサル法は比較的エビデンスに基づいており、有意義な支援方法の1つと考えられます。
言語聴覚士である都筑氏によって考案されました。
解説
メンタルリハーサル法の方法
メンタルリハーサル法は、 リラックスした状態で、幼少から現在までにおける「上手くできていた記憶」を頭の中で描きます。
手順としては以下のようになります。
- 頭の中で場面を映像で描く心の準備をします。
- 幼少期から現在まで、自分の行動や周囲とのやりとりが上手くできた場面を描きます。
- 「自然な発話」を頭の中でリハーサルします。
- これらを全身がリラックスした状態で行います。
意義
メンタルリハーサル法は概略だけ見ると非常に単純というか精神論に聞こえるかもしれません。
しかしながらメンタルリハーサル法は吃音者の支援について理にかなっており、
メンタルリハーサル法は「本人の吃音に対するネガティブな印象」を緩和することに重点を置いています。
なぜなら吃音が進行・重度化する要因の1つは吃音に対するネガティブな印象、つまり心理面だからです。
吃音に対するネガティブな印象
吃音に対するネガティブな印象とは、言い換えると「吃音を隠す努力」です。
この「吃音を隠す努力」が、
話す前の予期不安
失敗の記憶・経験の反芻
会話場面の回避や言葉の言い換え
などを招きます。
これらは吃音者の心理的なプレッシャーとなり、余計に吃音の症状を進行させる悪循環となります。
メンタルリハーサル法はこれらを緩和させることを狙います。
メンタルリハーサル法の効果
メンタルリハーサル法を行った研究では3分の1が吃音の自覚症状消失、3分の1が吃音軽減、3分の1が効果なしだったそうです。
このように3分の2の人は何かしらの効果があったと言えます。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索