吃音児を持つ親への対応方法
吃音支援においては本人だけでなく保護者へのサポートも大切です。
親が吃音に対して否定的だったり不安定であれば、それは子供にも伝わってしまうでしょう。
保護者への支援として、「子供がどもるのは親の接し方が悪い」という誤解と負い目を解消することは大切です。
また吃音の受け入れ(受容)には個人のペースがありますから、こういった心情に寄り添う姿勢が大切です。
解説
吃音の発症ペース
吃音は急に発症するケースが多いです。
割合としては
- 1~3日(急に発症)が41%
- 1~2週間(中間の期間)が32%
- 3週間以上(徐々に発症)が27%
となっています。
このように、吃音は「ある日突然どもりだした」というケースが少なくないことがわかります。
ゆえに、「昨日、子供を叱り過ぎたから子供がどもってしまったのか」と責任を感じてしまう保護者も少なくありません。
こういった状況に対して、「吃音はきっかけがなくても突然発症するケースがある」ということを伝えることは大切でしょう。
保護者が不要な負い目を感じていては、かえって子供の負担となってしまいます。
障害受容の5段階説
- ショック
- 否認
- 悲しみと怒り
- 適応
- 再起
これらは障害受容についての説の1つである5段階説と呼ばれます。
子供の障害に対して始めはショックを受け戸惑い、次いで「何かの間違いだ」といった類の否定が入り、悲しみや怒りへと感情が変化します。
その後に障害に対して受け入れる適応の時期に入り、前向きな姿勢となる再起へと変化していきます。
もちろん誰もがこういった経緯をたどるわけではありませんが、人が物事を受け止めるには葛藤も含めた段階があるということを念頭に置くことは大切なことでしょう。
現代医学において吃音の治療法は確立されていません。
つまり吃音は治らないものと言えます。この事実は変わりません。
しかしそういった「事実」を「いつ」「どのように」伝えるかは工夫の余地があると言えるでしょう。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索