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「す」の正誤弁別
このステップでは、「す」の音の正誤弁別を行います。
正誤弁別は練習対象の音を聞きそれが正しい音か否かを判断できるようになることを目指します。
構音訓練終了後も、自分で正しい音を維持し続けるためには大切な力と言えます。
解説
意義・意図
練習対象となっている音を聞き、それが正しいか間違っているか判断できるようになるのが正誤弁別の段階です。
正しい構音を身に着けるためには、自分が今正しく構音できているか自分で判断できなければいけません。
音の正誤弁別はこういった自分で音を比較・照合するための前段階になります。
耳の訓練における正誤弁別の段階を行うには、当然ながら口の訓練である程度練習音が構音できる段階まで進んでおく必要があります。
正誤弁別
1つの単語での正誤弁別
指導者が絵カードを提示しその名前を言い、正しい音かどうか子供に判断してもらいます。
例えば指導者が「すいか」の絵カードを提示します。
子供の目の前に〇と×が書かれた紙を置いておきます。
指導者が「すいか」と正しく発音すれば〇を子供に指差してもらいます。
「ちゅいか」のように誤った発音をした場合は×を指差してもらいます。
ちなみに絵カードは同じ絵であっても複数枚あると、子供にとって解き進めている感じを演出できるでしょう。
慣れてきたら絵カードを使わず音だけで判断してもらいます。
つまり視覚刺激を使わず聴覚刺激だけで弁別を行っていきます。
○×カードをポストのおもちゃに入れていくような遊びでモチベーションを促しても良いでしょう。
あるいは、おもちゃの太鼓やピアノなので正誤に応じて音を鳴らしてもらってもいいでしょう。
自動販売機やスロットのおもちゃなど、正解したときはコインを入れるルールで行うパターンもあります。
様々な単語での正誤弁別
上記の練習を様々な単語で行います。
指導者が直接言ってもいいですし、ぬいぐるみなどを使ってしゃべっているような演出をしてもいいでしょう。
使用する絵カードは20枚くらいあると重宝するでしょう。
子供に言ってもらう
役割を交代します。
今度は子供に呼称してもらい、指導者が正誤弁別します。
当然、この練習は子供が単語レベルの構音をできる段階にきていることが前提条件となります。
またこのステップは発音の実際的な練習にもなるので一石二鳥ですが、低年齢の子はできない可能性もあります。
実施の際は子供の状況をよく見極めましょう。
自身での正誤弁別
先程は指導者が正誤弁別していましたが、今度は子供に自分で言って自分で正誤弁別してもらいます。
こちらも子供によっては難しい場合があるので、子供の能力をよく見極めて実施します。
スロットマシーンのおもちゃを使った練習
スロットマシーンなどコインを使ったおもちゃを使うことで練習のモチベーションを上げるやり方もあります。
指導者が単語を言い、それが正しく発音されているか間違っているか子供に判断してもらいます。
正しい発音のとき、あるいは子供が正しく判断できたときにコインを渡します。
コインがたまったらスロットなどで遊びます。
(正しく判断できたときにコインを渡したほうが、正確な正誤弁別に対するモチベーションも上がるかもしれません)
呈示する単語は徐々にスピードを上げ、判断を素早くできるよう目指します。
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参考資料
湧井豊『構音障害の指導技法-音の出し方とそのプログラム-』学苑社、1992年