今日は障害のあるお子さんをもつ、親御さんの障害受容についてです。
1. 障害受容とは
自分や自分の子供の障害を受け入れていくことを障害受容と言います。
障害者本人だけでなく、その周囲もサポートする上で障害受容について考えることは重要で、様々な研究がなされています。
障害に対する思いは当然ながら人によって様々です。
しかしながら、障害受容までの過程は段階を踏んで行われるという説が有力で、そのプロセスもある程度共通している点が見られます。
以下、障害受容における段階を見ていきましょう。
2. 障害受容の5段階説
障害受容のプロセスは研究者によっていろいろあります。
日本で最も有名な障害受容のプロセスの1つが、以下に示すDrotar氏らが述べた段階説なのではないかと思われます。
ちなみにⅣとⅤがまとまって4段階で扱われることもあります。
Ⅰ. ショック
障害があるという事実についてショックを受ける段階。
Ⅱ. 否認
「何かの間違いだ」「診断ミスだ」といった否定する段階。
Ⅲ. 悲しみと怒り
「どうしてこんなことに」「誰が悪いんだ・・・」といった悲しみや怒りが感情を占める段階。
Ⅳ. 適応
障害を受け入れていく段階。
Ⅴ. 再起
障害について前向きに知識を得たり行動したりできる段階。
3. 悲嘆のプロセスを用いた障害受容の段階
さらに障害受容について細かくみていきましょう。
アルフォンス・デーケンが提言した悲嘆のプロセスを、障害受容に応用したものがあります。
佐々木正美氏は障害受容を以下の11段階としています。
①ショックと麻痺
②否認
③パニック
④怒りと不当感
⑤敵意と恨み
⑥罪意識(自責の念)
⑦孤独感と抑うつ状態
⑧精神的混乱と無関心状態
⑨前向きな受容へ
⑩新しい希望、そして笑いとユーモアの発見
⑪新しい価値観の発見
4. まとめ
以上のように、障害受容の期間や感情の起伏の大きさは人それぞれでしょうが、ある程度共通した経過をとることが考えられます。
10段階目の「笑いとユーモアの発見」というのはなかなか興味深いですね。
障害を持つお子さん特有の言動や巡り合わせを楽しめる時期といったところでしょうか。
いずれにせよ、障害受容の段階を知ることは「だからこのように受容しなければならない」という話ではありません。
障害受容の段階説は、「今、この瞬間」の感情だけで全てを決めてしまうことなく、ある程度時間が解決してくれる要因も考えながら長い時間軸でみていくことの大切さを示唆しています。
5. その他の記事
6. 参考資料
『親が子供の障害を受容して行く過程に関する文献的検討』(J-STAGE)2018年6月3日検索
『親の障害の認識と受容に関する考察-受容の段階説と慢性的悲哀』(障害保健福祉研究情報システム(DINF))2018年6月3日検索