特異数とは?
子供の算数において「特異数(とくいすう)」とは、基になる数であったり生得的に量が理解しやすい数のことです。
要するに特異数とは他の数より感覚的にわかりやすい数のことです。
例えば私達は「147」という数より「100」のほうが区切りがよくわかりやすい印象を受けるでしょう。
「5+6」より「5+5」のほうが(答えがちょうど10なので)まとまりが良い気がします。
特異数に着目した指導は、算数の苦手さの克服につながる可能性があります。
解説
算数の計算における特異数
計算において「10」は特異な数とされることが多いです。
また掛け算では「5」が特異数となる傾向にあります。
これらは実生活を振り返ると想像に難くないと思います。
「13-4」より「13-3」のほうが(答えがちょうど10)になり、まとまりが良く簡単な印象を持つ人は多いのではないでしょうか。
また何かを分けるときに「9個ずつ」より「10個ずつ」分けることのほうが簡単です。
例えばたくさんある10円玉を数えるとき、10個ずつのまとまりにしていくと数えやすいでしょう。
九九を覚える際も5の段は例えば7の段よりも覚えやすかった人が多いのではないでしょうか。
このように人には感覚的にわかりやすい数というものがあります。
特異数を活かした学習
子供に算数を指導する場合、これら特異数を活かした指導は有意義と考えられます。
「特異数」は理解がしやすいため、特異数から学習していくことで(計算や九九を)「得意」に感じることができるかもしれません。
得意な計算が増えれば、それで苦手をカバーしていけるかもしれません。
算数が苦手な子にとって特異数から着手することは有意義です。
一方で、算数が苦手な子の中には特異数の傾向があまり見られない子もいます。
つまり「5+6」より「5+5」のほうがまとまりが良い気がするという感覚がピンとこない子です。
特異数への感覚が弱い子は、数概念がまだ曖昧な可能性があります。
実物を扱ったり数えたりなど数に関する経験を積み特異数を強化することが、スムーズな計算につながる可能性があります。
参考資料
『九九学習で誤答率の高い九九の要因と特異数』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧
『算数障害を有する児童に対する九九の自動化のための学習支援』(上越教育大学)2021年12月16日閲覧
『通常の学級に在籍する児童への特別支援学校のセンター的機能を通したわり算指導に関する一考察』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧