心の理論と入れ子構造
心の理論は人の気持ちの入子構造を理解できるかがポイントであると言えます。
つまり「AさんはBさんが○○と思っていると思っている」といった人間関係の構造などです。
多くの人はこういった入れ子構造について4番目のレベルまでは理解がしやすいことが示唆されています。
解説
心の理論とは?
心の理論とは、相手の立場になって考えることができる能力のことです。
自分本位ではなく、相手がどんな情報を基にどんな判断をするのか相手の立場になって考えることができる力のことです。
例えば「鈴木さんはコーヒーより紅茶が好き」ということを知っていれば、たとえ自分がコーヒーが好きでも鈴木さんには紅茶を出すでしょう。
これは相手の立場になって考えることができるからです。
人の気持ちの入れ子構造
このように他者の気持ちを推察することは人間関係において非常に重要です。
そしてこのような推察は入れ子構造の形をしばしばとります。
例えば「鈴木さんは紅茶が好きと佐藤さんは思っている」という文章があったとします。
これは当然ながら「鈴木さんは紅茶が好き」とは限りません。
あくまで「佐藤さんがそう思っている」という話だからです。
このように、私達は「鈴木さんは紅茶が好き」と「鈴木さんは紅茶が好きと佐藤さんは思っている」の違いが理解できます。
これは入れ子構造の推察ができるからです。
このような入れ子構造をぱっと理解できるのは、4番目のレベルまでが限度と言われています。
例えば以下のような文章があります。
鈴木さんは、佐藤さんが田中さんと結婚したがっていると、吉田さんが思っていると、加藤さんが信じるように、望んだ。
非常にややこしい文章ですが、多くの人が「わからなくはない」でしょう
一方で、これより複雑になると理解が追いつかなくなっていきます。
例えば以下のようなものです。
鈴木さんが何をしたいのか、佐藤さんが知っていると、田中さんが考えているのかどうか、吉田さんに見破らせたいと、加藤さんが望んでいると、吉田さんが思っていると、古賀さんは思った。
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年