「罪のない嘘」課題とは?
「罪のない嘘」課題とは、文字通り罪のない嘘を見極められるかを見る課題です。
「罪のない嘘」課題は心の理論を見る課題の1つであり、相手の言葉と本心が一致しないことを見極められるかが問われます。
「罪のない嘘」課題の解説
問題の内容
「罪のない嘘」課題においては「ハムスターもんだい」が有名です。
なつきちゃんは誕生日のプレゼントにハムスターがもらえると思っていました。
しかし、プレゼントの箱を開けると、欲しくないクマのぬいぐるみが入っていました。
お母さんに「どう?気にいった?」と訊かれたなつきちゃんは、にっこり笑って「ありがとう。欲しかったの、クマのぬいぐるみ」と答えました。
なつきちゃんは本当のことを言っていますか? それはどうしてですか?「アニメーション版 心の理論課題 課題構成」より引用
答えと解説
上記の答えは
「本当のことを言っていない」
「ハムスターが欲しかったという気持ちを言うと、せっかくプレゼントを用意してくれたお母さんを傷つけてしまうかもしれないから」
です。
「罪のない嘘」課題では、本当のことを言ったかどうかという対象となる心の状態の検知と、その理由を問われる2段構成になっています。
この「検知」と「理由」を問う2段構成は、心の理論や他者の心を推し量る言語検査によくある問題構成です。
これにより、相手の気持ちや状況の読み取りを「なんとなく」という感覚で理解できているのか、言葉による「理屈」も含めて理解できているのかがわかります。
当然、感覚でも理解しそれを言葉にも落とし込めているほうがいいわけですが、
それとはまた別の示唆で、
自閉症スペクトラム(ASD)の子の場合、心の理論の理解を言語能力を介して獲得することが多々あります。つまり正常発達の子が「なんとなく」察することができる相手の心情を、なんとなくでは難しいから言葉や理屈で理解するということです。
ASDの子全員がそうというわけではありませんが、「罪のない嘘」課題などの回答傾向は、その子の心の理論の獲得背景を知る手がかりとなります。
参考資料
『発達障害における基礎研究と臨床への適用 自閉症スペクトラム障害と心の理論の視点から』( 一般社団法人 日本発達心理学会)2021年2月23日検索
『アニメーション版 心の理論課題 課題構成』(DIK 教育出版)2021年2月23日検索