聴力は年齢によって変化するか?
聴力は年齢と共に変化する可能性があります。
特に55歳以上では、加齢が聴力に及ぼす影響が疾病によるものを上回る可能性があります。
自覚症状がなくても、会社や地域の健康診断などで定期的に聴力検査を受けることは有意義と考えられます。
解説
加齢の聴力検査の有所見率の関係
耳鼻咽喉科臨床学会の論文によると、加齢による聴力の低下の可能性はあると考えられます。
一般健康診断での選別聴覚検査による聴力検査の傾向から、聴力検査での有所見数・有所見率は年齢と共に増加する傾向にあります。
特に35歳以後は聴力の有所見と年齢がよく相関しています。
さらに、40歳以降からは有所見率が上昇する傾向にあります。
つまり年齢を重ねるほど聴力に所見が見られる人の割合が増えてくるということです。
そして55歳以上では加齢が聴力に及ぼす影響が疾病によるものを上回る可能性が出てきます。
健康診断と聴力検査
以上のような経緯から、年齢を重ねる中で健康診断を通し自分の聴力を知る機会を設けることは大切であると考えます。
一般的な健康診断は簡易的な聴力検査を行うことが多いですが、これらはより本格的な聴力検査で精査を行うか否かの判断に役立つでしょう。
聴力は加齢によっても変化が考えられますが、職場環境を含む日々の生活状況も非常に重要です。
例えば騒音が大きい環境で日々業務を行う人はより慎重に聴力の経過を見ていく必要があるでしょう。
あるいは、たまたま左右どちらかのほうから騒音が聞こえる環境で聴力に左右さが生まれる可能性もあります。
例えばデスクの向きの関係で常に左側の窓から騒音が聞こえてくる場合などです。
自分の聴力を客観的に知る機会があれば、生活習慣を見直すきっかけになります。
選別聴力検査の解説
参考資料
『選別聴覚検査による聴覚管理』(耳鼻咽喉科臨床学会)2023年6月29日閲覧