抽象の原理(ちゅうしょうのげんり)とは?
「抽象の原理」とは、数える物の性質に関係なく1つは1つとして数えることができるということです。
リンゴは1個、スイカは1個。
リンゴよりスイカは大きいから、スイカ1つは2個であるというわけではありません。
また、水は形がないから数えられないというわけではなく、「1リットル」など特定の条件によって数えることができます。
このように、大きさや見た目といった性質にとらわれず1個は1個とすることは、物を数える上での原則の1つと言えます。
抽象の原理は、人間が数を正しく数えるのに必要な「計数の5原理」のうちの1つです。
解説
位置付け
数を数えることを「計数」と言います。
そして人間が数を数えるためには5つの概念が必要とされ、「計数の5原理」と言われています。
計数の5原理は以下の5つです。
- 1対1対応の原理
- 安定順序の原理
- 基数の原理
- 抽象の原理
- 順序無関係の原理
このように、「抽象の原理」は数を数えるために必要な5つの力のうちの1つであることがわかります。
抽象の原理の解説
冒頭で述べた通り、抽象の原理は物の性質にかからわず物を数えられることを示します。
アリと猫は大きさは異なりますが、1匹は1匹です。
また、女王アリも働きアリも1匹は一匹でしょう。
白い猫も1匹は1匹であり、黒い猫なら2匹と数えるといったこともありません。
数を正しく数えるには、このような概念形成が重要となります。
計数の原理の解説
参考資料
『小学1年生における計算学習の現状と課題 : 1年生の算数指導に関わった経験のある教員への質問紙調査と1年生への調査を通して』(植草学園短期大学)2022年6月3日検索
『数表記・数詞・具体物の三項関係に関する論考』(京都女子大学)2022年06月03日検索
『小学校学習指導要領解説算数編(後半)第3章 各学年の内容』(文部科学省)2022年06月11日検索
『インタラクションを通した数の概念の獲得』(人工知能学会全国大会論文集)2022年06月11日検索