うつの再発
1回でも鬱病を発症したことがある人は、2年以内に再発する可能性は50%、それ以後も含めると80%と考えられています。
鬱病の発症には環境要因もありますが、性格の要素である「神経質傾向」も大いに関連すると考えられます。
解説
神経質傾向とは?
神経質傾向とは人の性格を5つの要素で考えたときの1つです。
- N:神経質傾向(Neuroticism)
- E:外向性(Extraversion)
- O:開放性(Openness to Experience)
- C:誠実性(Conscientiousness)
- A:調和性(Agreeableness)
その5つは上記のようになっており、「ビックファイブ」と呼ばれます。
神経質傾向は、怒りや不安といったネガティブな感情に関連します。
同じ出来事に対してネガティブな情動をどのくらい抱くかは、個人の神経質傾向の強さにもよります。
神経質傾向と鬱病
神経質傾向の高さは鬱病のリスク因子ではあります。
しかしながら神経質傾向が悪い因子なのかというとそうとも言えないでしょう。
神経質傾向は先述のように人の性格を成す因子の1つであり持続する安定した特性です。
生き物は天敵に襲われたときなど「正しく恐怖する」ことが生き残るためには必要です。
こういった恐怖のアンテナを張る上で、神経質傾向は役立っていると言えるでしょう。
一方で、鬱病の発症と神経質傾向のスコアの高さが関連することも傾向として見られます。
神経質傾向が高い場合、日々の厄介な出来事に対するストレスを感じやすいです。
このため神経質警告が低い人にとっては少ないストレッサー(ストレスを引き起こす刺激)でも鬱病に至る可能性があります。
ビッグ・ファイブ理論とは?
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年