ワーキングメモリと知能との関係
人の知能とワーキングメモリは何らかの関連があると考えられています。
ワーキングメモリ課題の成績が高い人ほど知能得点も高い傾向にあることがわかっています。
また、ワーキングメモリの課題成績は知能得点の個人差(分散)の50%を説明できることがわかっています。
解説
ワーキングメモリと知能
冒頭で述べた通り、ワーキングメモリの課題成績の高さは、知能得点の高さに関連があることがわかっています。
つまり知能得点が高い人はワーキングメモリが高いという数値上の傾向があるということです。
このことから、ワーキングメモリをトレーニングすることで知能を上げることができるのではないかという研究が盛んになります。
しかしながら、
ワーキングメモリ単独を上げたからといって知能に必ずしも影響するわけではないことがわかっています。
ワーキングメモリと知能の関連性は研究中で諸説あるものの、人の身体における体重と身長の関係で例えられる場合があります。
人の身体において、当然ながら身長が高い人はそうでない人より(同じ体格であるならば)体重は重くなりがちです。
つまり身長が高い人ほど体重が重い傾向にあるという図式が成り立ちます。
しかしだからといって、じゃあ体重を増やせば身長が高くなるのかと言えばそうでないでしょう。
このように、ワーキングメモリと知能は相関はするものの、それぞれの機能は異なると考えられています。
ワーキングメモリと知能得点の個人差
ワーキングメモリの課題成績は知能得点の個人差(分散)の50%を説明できることがわかっています。
分散とはデータのばらつきを表します。
知能検査における個人差をワーキングメモリ高さである程度説明できることを意味します。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索
『発達障害のある児童のワーキングメモリは改善できるのか–広汎性発達障害のある児童を対象とした試み』(東北福祉大学機関リポジトリ)2022年8月6日検索
『Training of Working Memory in Children with ADHD』(ResearchGate)2022年8月6日検索
『前頭前野とワーキングメモリ』(日本高次脳機能障害学会)2022年8月6日閲覧