Baddeleyのモデル
ワーキングメモリの仕組みを考える上で、有名なものにBaddeley氏のモデルがあります。
これによるとワーキングメモリは
- 音韻ループ
- 視空間スケッチパッド
- エピソードバッファ
そしてこれらの司令塔的役割を持つ
- 中央実行系
という4つの要素で成り立っていると考えられています。
つまり
音韻ループ \
視空間スケッチパッド -中央実行系
エピソードバッファ /
という図式です。
各要素の解説
音韻ループ
言葉に関する情報を担う機能です。
視空間スケッチパッド
言語化できない情報を担う機能です。
エピソードバッファ
長期記憶との照合・アクセスを担う機能です。
中央実行系
これら3つの機能を統合・調整する司令塔的な機能です。
モデルの解説
ワーキングメモリは一時的に保持した情報を操作する能力のことです。
例えばランダムに呈示された数字を逆から言うには、数字を覚えた上でそれを逆から言う「操作」が必要になります。
ワーキングメモリはこういった作業を担います。
ではワーキングメモリはどのような処理過程を行っているのか。
Baddeleyのモデルに沿うと、
呈示された情報のうち言語的な情報は音韻ループで、非言語的視覚的情報は視空間スケッチパッドで扱われます。
それらと併行してエピソードバッファにより長期記憶も必要に応じて活用してきます。
このようにして情報を保持・操作していくわけですが、その統合・司令塔として中央実行系が活躍します。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索
『発達障害のある児童のワーキングメモリは改善できるのか–広汎性発達障害のある児童を対象とした試み』(東北福祉大学機関リポジトリ)2022年8月6日検索
『Training of Working Memory in Children with ADHD』(ResearchGate)2022年8月6日検索
『前頭前野とワーキングメモリ』(日本高次脳機能障害学会)2022年8月6日閲覧
『記憶とその障害』(一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)2022年8月15日閲覧