ワーキングメモリと知能の関係
ワーキングメモリの課題成績が高いと、知能得点も高い傾向があります。
ワーキングメモリは簡単に言うと「情報を一時的に記憶しその情報を操作する力」のことです。
例えば買う物を覚えておいて、スーパーで通ったコーナーから順に買う物をカゴに入れる行為は、「覚えておく」と「情報を操作する」力が必要なワーキングメモリを活用した行為です。
ワーキングメモリが高いと他の幅広い高次認知機能の高い傾向にあることがわかっています。
では、なぜワーキングメモリの高さが知能の高さに関連しているのでしょうか。
これには諸説ありますが、例えば日本心理学会の論文では以下のようにまとめています。
解説
注意制御能力
注意制御能力とは、必要な情報に注意を向けそうでない情報を無視できる力を指します。
ワーキングメモリにはこの注意制御の側面が含まれており、これらが全般的な認知処理にも通ずると考えられます。
同時に注意を向けられる容量
複数の情報に同時に注意を向けられる容量も、知能得点に関わる傾向にあります。
二次記憶の検索
長期記憶から必要な情報を効率的・効果的に検索できる能力も知能得点全般に影響を及ぼすと考えられています。
まとめ
ワーキングメモリ課題に必要とされる力のうち、注意制御・容量・二次記憶検索などの要素は特に全般の知能得点との関係が深いと考えられています。
これらの影響で、ワーキングメモリの課題成績と知能得点の成績が関連しているのではないかと考えられています。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索
『発達障害のある児童のワーキングメモリは改善できるのか–広汎性発達障害のある児童を対象とした試み』(東北福祉大学機関リポジトリ)2022年8月6日検索
『Training of Working Memory in Children with ADHD』(ResearchGate)2022年8月6日検索
『前頭前野とワーキングメモリ』(日本高次脳機能障害学会)2022年8月6日閲覧
『記憶とその障害』(一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)2022年8月15日閲覧