保育園や幼稚園でのいじめ
学童期からより深刻視されることが多いいじめですが、幼児期でもいじめはあります。
相手を意図的に「いじめたい」と思う、大人としても見過ごせないいじめがあるい一方で、
うまく言葉にできずに手が出たりする状況から「いじめられた」と感じるお子さんもいるようです。
幼児期という比較的幼い時期の人間関係であっても軽視せず、その子その状況に合った大人のサポートが必要です。
幼児の「いじめられた」という感覚
東京都立教育研究所の調査において、200名以上の幼児に「友達にいじめられたことがあるか?」と聞き取りを行ったところ、
4~5歳児の約60%が「いじめられたことがある」と答えたそうです。
幼児期のいじめの内容
子供達にいじめられたときの内容を聞いてみると、
「(何もしていないのに)ぶたれた」
「急に押された」
「玩具をかしてくれなかった」
「通り道に積み木があって通れなかった」
など、
幼児においては「唐突に起こる不快なこと」や「自身の行動が阻害されたとき」に「いじめ」と感じることが多いようです。
またいじめられた理由を「忘れた」とうまく言葉にできないケースも3割前後いるようです。
このように幼児期のいじめはその定義や認知が幼いというか大人の認識とずれている部分があります。
一方で、「友達をいじめたことがある?」という問いに対して「いじめたくなるときがある」「なんとなく」といった回答も見られ、
幼児期であってもいじめをはじめとした人間関係のトラブルは軽視できないことがわかります。
おわりに
幼児期の人間関係においては、悪質・陰湿ないじめと、コミュニケーション能力の不十分さからくるトラブルを分けて対応する必要があるようです。
具体的には「弱い者をいじめたい」といった意図に対しては大人はしっかり対応しないといけないでしょうし、
一方で、「おもちゃを借りたいけれどうまく言葉にできず、何も言わず取ってしまった」といった状況は大人がコミュニケーションの仕方を教えてあげることが必要でしょう。
いずれにせよその子ひとりひとりの心の面を配慮しながら対応していきたいものです。
補足記事
参考資料
『幼児期の「いじめ問題」をどう考えるか その(1) : 幼児はどのようなときに、「いじめられた」と感じるか』(国立国会図書館デジタルコレクション)2020年9月24日検索