幼児教育はなぜ重要なのか?
幼児教育の重要性・有意義な点な1つにコストパフォーマンスの良さがあります。
つまり同じ時間やお金をかける際、そのコストを幼児期に払ったほうが思春期以降に払うよりも効果的である可能性が高いです。
この傾向は貧困家庭といった「教育環境が良くない家庭」に特に言えます。
解説
幼児期の教育の重要性
就学前の教育に関する介入として、「ペリー就学前プロジェクト」や「アベセダリアンプロジェクト」などがあります。
これらによると、就学前教育を受けた子供は受けなかった子供よりも学力検査の成績が良く、学歴が高く、特別支援教育の対象者が少なく、収入が多く、持ち家率が高く、生活保護受給率や逮捕者率が低かったことがわかっています。
アメリカの研究ではあるものの、幼児期に教育を受け「土台」のようなものを育むことは、その後(大人になってから)の人生にも影響があるこを示唆していると言えます。
ペリー就学前プロジェクトの利益率は6~10%と見積もられています。
これは単純に言うと幼児期に100万円の費用をかけて教育を行うと、子供の学歴が上がったり収入が上がり106万円くらいの利益を大人になって出せることを意味します。つまり払った額より得られる利益が大きくなりコスパが良いということです。
介入の対象
幼児教育プログラムに対する利益が最も大きいのは、親から十分な教育投資を受けられない貧困家庭の子供と考えられています。
お金持ちの家あるいは平均的な家庭であればある程度の教育を受けることができます。
しかし貧困家庭の場合はそうとは限らず、子供にとってスタートラインにかなりの不利があります。
社会的に支援する場合、貧困家庭の子供の教育に資源を投入することは有意義であると言えます。
また、思春期以降の教育介入は幼児期と比較すると収益率が低いと考えられています。
成長し人格や習慣が強く形成されていけばいくほど、期間限定の教育で得られる効果は小さくなるのかもしれません。
ペリー就学前プロジェクトとは?
参考資料
ジェームズ・J・ヘックマン(著)、古草 秀子(翻訳)『幼児教育の経済学』東洋経済新報社、2015年