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「幼児教育の経済学」要約と解説|ジェームズ・J・ヘックマンの研究

公開日:2023年12月1日


 
 

「幼児教育の経済学」とは?

 ジェームズ・J・ヘックマンの著書である「幼児教育の経済学」。
 タイトル通り教育学と経済学を用いた「教育のエビデンス(科学的根拠)」を題材にした本であると言えます。

 専門的で有意義な書籍の1つと言えますが、「「学力」の経済学」など類似した書籍と比べると文章が小難しいわりに内容が少ない感も否めません。

 ただし教育と経済学を絡めた書籍の中では、比較的(ページ数が少ないため)読みやすく手を出しやすい本ではないかと思います。

 
 
 

要約

格差社会と教育

 本書における問題提起として、「経済的格差の広がりにより子供の教育に格差が生じている」ことが挙がります。

 子供は生まれる環境を選べないので、経済格差により教育格差が生まれその子の人生に長期的に影響が出てしまうのは好ましくないでしょう。

 「幼児教育の経済学」では格差の広がりがいかに子供達の将来に影響を及ぼしてしまうかを述べ、その改善策として幼児教育に対する社会の介入の必要性を述べています。

 
 

幼児教育の非認知能力

 「幼児教育の経済学」では、同じ教育コストでも幼児期に教育を行ったほうが効果的である点を述べています。

 また、IQをはじめとした数値化できる能力である「認知的能力」だけでなく、社会的スキルといった数値化できないですが人生において重要な「非認知的能力」の教育の重要性を説いています。

 これらは幼児期に介入を行うことがベストですが、思春期以降であっても一定の意義があることも言及しています。

 
 

専門家による教育に対する意見

 本書は複数の専門家の視点から、幼児教育や教育の経済学について述べられています。

 幼児教育の効果測定が難しい点やそれゆえにエビデンスが不透明であるなどいわゆる「批判的意見」もきちんと収められているのは本書の優れたところの1つかと思います。

 
 
 

参考資料

ジェームズ・J・ヘックマン(著)、古草 秀子(翻訳)『幼児教育の経済学』東洋経済新報社、2015年

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