幼児期に読み聞かせで小学校の国語力は上がる?
幼児期に親から多く読み聞かせを受けた子は、その後の小学校4年生時点の文章読解力が高かったという報告があります。
幼児期の習慣は先行投資であることと、読書の大切さがわかる研究結果と言えます。
解説
読書と文章理解の関係
日本教育心理学会の論文で引用されたSenechal(2006)の調査によると、幼稚園児のときに親から多く読み聞かせを受けた児童は、小学校4年生のときに文章理解力が高くなることを報告しています。
小学校4年生はおおむね9歳あるいは10歳になる時期です。
俗にこの時期は「9歳の壁」と言われ、学習内容が難しくなり勉強についていけなくなる子がちらほら出てくる時期でもあります。
小学校の授業内容をきちんと理解するには、この小学校中学年(3,4年生)までの内容をきちんとうやむやにせず理解し、高学年へとつなげていくことが重要です。
読書の習慣を小さいうちから身につけることは、就学後の学習にも良い影響があると考えられます。
読書と国語力
国内外を含めた多くの研究により、読書量・語彙力・文章理解力は相関があると考えられています。
ここで言う「語彙力」とは「語の意味を知っている」こと、「文章理解力」とは「ある文章を一定時間内に正確に理解できること」と考えます。
「本を読むと国語力は上がる」というのはイメージだけでなく科学的な裏付けもあると言えるでしょう。
文章を読んで理解する力は国語だけでなく算数や理科・社会といった多くの文章問題に影響します。
小学生の子達の中で、「計算はできるけれど文章問題が解けない」というケースはよくあります。
文章理解は宿題や授業をきちんと受けることは大前提ですが、一方で読書といった「文章を読み解く」習慣をつけることも大切です。
そのためにはただ本を与えて「読みなさい」と言うのではなく、幼児期の読み聞かせや子供が好きな本はどんな本か家族で話す時間、読んだ本の感想を一緒に話す時間など「読書を楽しくできる」環境作りが大切でしょう。
参考資料
『複数の読書量推定指標と語彙力・文章理解力との関係』(一般社団法人 日本教育心理学会)2023年6月13日閲覧