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はじめに(指さしには種類がある)
何気ない行動の指さしですが、子供の発達においては重要な指標の1つです。
指さしはその意図によって複数種類あり、
子供がどの指さしをできる・できないかはその子の発達段階を知るてがかりになります。
日本教育心理学会などの論文を参考に、
指さしの発達過程・獲得過程を見ていきます。
指さしの発達過程
漠然とした指さしの時期
以下に見られるような意図はない、漠然とした指さしです。
指さしという行動の芽生えであり、まだ目的意識が不十分な指さしです。
漠然とした指さしが自発的な指さしの始まりになります。
要求の指さしの時期
叙述の指さしの時期
質問や確認の指さしの時期
応答の指さしの時期
対の指さし
上記の応答の指さしの獲得をもって発達における指さしはおおむね完成されたとされます。
「対の指さし」は指さし獲得後の、どちらかというと応用的なものになります。
対の指さしは例えば「目はどこ?」に対し両手で両目を指したり、片手で続けざまに両目を指さすような行為です。
より概念が完成していることがわかります。
指さしと言葉の併用
指さし獲得後の応用的な動作として指さしと言葉の併用もあります。
例えば子供がお風呂上りで背中を指さしながら「ふきふき」と母親に言う。
これは「背中をタオルで拭いて」という意味ですね。
このように、
指さしと言葉を併用した表現で意思を伝えることができるようになってきます。
おわりに
以上のように指さし1つとっても様々な種類と段階があることがわかります。
どの指さしが得意・苦手かでお子さんの発達傾向の参考にもなります。
例えば自閉症スペクトラム(ASD)といったコミュニケーション面に苦手さがある発達障害のお子さんの場合、要求の指さしと比べると叙述の指さしが苦手な傾向があったりします。
このように、指さしという行動を機能別により細かく見ていくことは、お子さんへの働きかけのヒントになります。
補足記事
参考資料
『自閉症幼児における応答の指さしと言語獲得』(神戸大学学術成果リポジトリ)2020年7月2日検索
『1歳児における叙述の指さしと他者との共有経験理解との関連』(J-STAGE)2020年7月2日検索
『指さし行動の発達的意義』(J-STAGE)2020年7月2日検索