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人の豊かさは気にしないでいられるものの数に比例する|誘惑税の心理学

公開日:2022年12月29日


 
 

気にしないでいられるものの数

 「人の豊かさは気にしないでいられるものの数に比例する」という言葉は、作家であるヘンリー・デイヴィット・ソロー氏のものです。

 人生に示唆を与えてくれる言葉ではありますが、行動経済学者のセンディム・ムッライナタン氏らによると、心理学的にも筋が通っていることがわかります。

 
 
 

研究

豊かさと欠乏

 人は欠乏に晒されると冷静な判断ができなくなることがわかっています。

 例えば「お金がない」「時間がない」といった欠乏は、IQテストの結果を下げることがわかっています。

 月並みですが冷静な判断を行うためには心のゆとりが必要であると言えます。

 
 

誘惑税

 経済学者のアビジット・バナジー氏が「誘惑税」という興味深い考えを挙げています。
 衝動買いなど誘惑でその人が受ける損失を税に例えて「誘惑税」と表現を使っています。

 そして誘惑税は逆進税で、資源が欠乏している人ほど重くなると説いています。

 例えば時間がない人にとってだらだと過ごす1時間の誘惑に負けると、時間に余裕がある人よりその1時間の損失は高くつきます。

 例えばお金がない人にとって、衝動買いで使ってしまった1万円の損失は、お金持ちの人の1万円より高くつきます。

 このように、誘惑税はゆとりがない人ほど高くつきます。

 
 
 

解説

 何かに気にしないで済むということは、それが気にならない豊かさがあるということです。

 人は何かを過剰に気にしたり不安になれば、当然充実した日々を送ることは難しいです。

 心の片隅に欠乏や心配事があると、無意識に意思決定に影響を及ぼし、その人の判断力や認知能力を下げてしまいます。

 それを避けるためには良い意味で物事を気にしないで済む豊かさが必要です。

 人の豊かさは気にしないで済むものの数に比例するのかもしれません。

 それは別の言い方をすると、

 人にゆとりや余裕が大切なのは、「気にしないで済む」ことがその人のパフォーマンスを高め、人生を充実させることにつながるからでしょう。

 
 
 

参考資料

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