自分の家の住所を言えることについて
4歳頃は、自分が住んでいる場所についての理解が芽生えてくる時期です。
このため見聞きしていれば、自分の家の住所を言うことができると考えられます。
番地などを含め正確に言えなくても、自分がどの都道府県に住んでいるのかや、自分が住んでいる市町村の名前を答えることができるかもしれません。
住所を言えるようになることは、単なる記憶の問題ではなく、自分の生活の拠点を理解することや地理的な概念を理解することを示唆しています。
解説
発達の概要
定型発達の観点から見ると、4歳頃の子供は短い文を理解し、簡単な文章を記憶する力が発達してきます。
また「自分」への意識が高まり、「自分の家」「家族の名前」といった概念に着目することができるようになっていきます。
このため、自分の名前や家族の名前、住所といった身近な情報を少しずつ覚えることが可能になります。
また、聴覚的な記銘(耳で聞いて覚える)の力も成長していき、大人が言う住所を覚えやすくなっていきます。
そのため、4歳児が自分の家の住所を(部分的にでも)言えるようになることは、言葉や概念理解の成長を示唆していると言えます。
できないときの対応
もちろん、住所というのは便宜的な知識であって、普段から聞いたり慣れ親しんでなければ覚えることは難しいでしょう。
大切なのは住所それ自体を暗記していることではなく、場所には都道府県や市町村など階層的な属性があることを理解することだと言えます。
そういう意味では、普段の会話の中で自然と地理的な知識を取り入れていくことが有意義です。
「○○ちゃんの家は○○町にあるんだよ」「おじいちゃんおばあちゃんの家は○○県にあるんだよ」など、会話の中で自然と住所に関する言葉を取り入れていきます。
また、絵や地図を使って「この道を通るとおうちに着くね」と視覚的に学ぶのも効果的でしょう。
できたとき次にすること
自分の家の住所をある程度理解できたら、それを活用することも大切です。
親戚の住んでいる場所やよく出かける場所が、自分の家からはどのような位置関係なのか。
会話の中で客観的な地理的情報を理解できると、場所に対するイメージがより深まるでしょう。
また目的地までの行き方を説明する力などにも役立ちます。
住所を言えるようになることは、子供の社会的自立を促すスキルの1つとも言えるでしょう。
参考資料
『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧

