構成要素を網羅した発話
4歳頃は、自分の経験や興味のある話題について、話題の構成要素をある程度そろえて話せる時期と考えられます。
構成要素とは、話題における要点のようなものです。
たとえば話題が「遠足」であれば、構成要素としては「行った場所」「遊んだ内容」「お弁当やおやつのこと」などが考えられます。
4歳頃は、こういった構成要素を含んだ話ができ始める時期です。
これは、単に言葉の数が増えるだけでなく、相手に分かるように順序立てて話す力が育ってきたことを意味しています。
解説
発達の概要
4歳頃になると、自分の考えを筋道立てて話すための土台が整ってきます。
この時期の子供は、出来事を「いつ」「どこで」「だれが」「なにをした」「どうなった」といった要素で整理して話すことができるようになっていきます。
たとえば「きのう公園で友達とすべり台をして楽しかった」のように、時間・場所・人物・行動・感情といった要素を自然に含めて話せます。
これは聞き手を意識して情報を整理する力が育ってきた証拠と言えるでしょう。
また、周囲の大人との会話や絵本の読み聞かせを通して、物語の構造や出来事のつながりを理解する力も高まっていきます。
このような発達は、社会的なやりとりの中で相手と気持ちを共有する力につながっていきます。
できないときの対応
話題の構成要素を含んで話すことがまだ難しい子供には、楽しみながら話題に沿った会話を促していきましょう。
話すときに「いつ?」「どこで?」「だれと?」「なにをしたの?」と(問い詰めるのではなく肯定的に)質問をして、要素を一つずつ引き出すことは有意義です。
その際、子供の答えを受け止めながら「そうなんだね、公園で遊んだんだね」と大人が言葉を補って整理してみせることも大切です。
また、絵カードや写真を使って出来事の順番を並べる練習をすると、話の流れを理解しやすくなります。
さらに、絵本を読んだ後に「最初はどうだった?」「次はどうした?」と確認することで、構成を意識して話す力が育ちます。
焦らず、子供が安心して話せる環境を整え、成功体験を積み重ねていくことが重要です。
できたとき次にすること
話題の構成要素をそろえて話せるようになった子供は、次の段階として、話に自分の考えや感情を加えて表現する機会も良い刺激となるでしょう。
たとえば、「どう思った?」「どうしてそうしたの?」という問いかけに答え、自分の意見を伝える力を伸ばしていきます。
このように、時系列に沿って話を行いつつ、その内容をより詳細なものにしていきます。
こうした学びを支えるためには、家庭や保育の場で、子供の話を丁寧に聞き、共感をもってやりとりすることが何より大切です。
参考資料
『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧

