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不安障害における薬物療法
不安障害へのアプローチには大きくは「認知行動療法」と「薬物療法」があります。
不安障害の治療原則は、マネジメントスキルを高めることであり、また認知行動療法は薬物療法と同等かそれ以上の効果を上げると考えられています。
このため、薬物療法は不安をマネジメントできるまでの橋渡しである言えます。
薬物療法については当然ながら医師の判断・指示にて行われます。
あくまでそれを前提に、このページでは不安障害における薬物療法の概要や基本原則を見ていきます。
解説
対応原則
日本内科学会の論文によると、薬物療法は以下のいずれかに該当しかつ「本人が服用を否定しない」場合に検討されると考えられています。
- 著しく苦痛が強い。
- 不安に対するマネジメントを理解できない、あるいは十分に実行できない。
- パニック発作を生じている。
- 生活機能に影響が出ている。
また、投薬はセルフコントロールが身に付くまでの臨時的・補助的なものと医師・患者で共有することが必要です。
ちなみにパニック発作とは、突発的に強い不安や不快感、著しい自律神経発作を生じることです。
これらは人によっては恐怖と感じることもあります。
このため自分はどうなってしまうのかという二次性の不安を抱く場合もあります。
薬物療法の概要
状況にもよるでしょうが、不安障害に対する薬物療法では抗不安薬ではなく抗うつ薬を用いるケースが少なくありません。
この理由としては、抗うつ薬に比べると抗不安薬は連用した場合に心理的依存を生じる場合があるからです。
このため抗不安薬は頓用(必要な時だけ服用する)という慎重な対応となります。
いずれにせよ、薬物療法は効果と副作用のバランスを見ながら医師とよく話し、慎重に種類や量を見極めていく必要があります。
参考資料
金吉晴(2013)『不安障害』(一般社団法人 日本内科学会)2025年9月7日閲覧
