助詞「を」の省略されやすさについて
特に幼児期の子供は、文を話す際に助詞である「を」を省略しやすい傾向があります。
この理由としては、
- 「対格は主格より省略されやすい」という性質
- 格助詞の中でも「を」は比較的習得が遅い
などが考えられます。
あるいは、「省略されやすいから習得が遅い」とも言えるでしょう。
解説
対格は主格より省略されやすい
日本音声言語医学会の論文を参考にすると、日本語において「対格は主格より省略されやすい」という特殊性が指摘されています。
「主格」とは主語であり、「対格」は目的語を指します。
つまり助詞において「が」よりも「を」のほうが省略されやすいということです。
これは日常生活からでも想像に難くないでしょう。
「お母さんがクッキーを食べる」という文がある場合、
「お母さんがクッキー食べる」
「お母さんクッキーを食べる」
だと後者のほうが若干違和感があるのではないでしょうか。
子供の言葉の発達と助詞
子供は比較的早期に助詞を使い始めますが、誤ったり省略したりと不十分な使用を行いながら段階的に習得していきます。
目安としては助詞を使い始めるのが2歳頃、習得しきちんと使えるようになってくるのが7歳頃と考えられます。
子供が幼児期において助詞を省略してしまうのが、成長過程に見られる自然な様子と言えるでしょう。
一方で、だからずっと助詞を省略していて問題ないというわけではありません。
然るべき時期には、助詞を習得する必要が出てきます。
なぜなら助詞はそれ自体は意味を持たないものの、文全体の関係や意味を理解する上では重要だからです。
たとえば「魚が食べる」と「魚を食べる」という文は似ていますが助詞が異なり、意味も異なります。
このように文を正確に理解するためには助詞の理解は必須です。
幼児期後半は、助詞の習得についても子育てや教育における1つのポイントと言えます。
参考資料
斉藤佐和子(2002)『健常幼児の格助詞と態の表出 ―構文検査 (斉藤私案) を使用して―』(日本音声言語医学会)2025年12月28日閲覧


