文の復唱ができること
3歳頃の子供は、大人が話した短い文を繰り返す「文の復唱」ができるようになっていくと考えられます。
目安としては二語文ないし三語文程度の復唱が可能になると考えられ、これは言葉や記憶力の発達を示す重要な指標の一つです。
解説
発達の概要
言葉の発達において、他者の話した文を記憶し繰り返せる復唱の能力は重要なものの1つでしょう。
復唱能力は言語理解や表現の深まりと密接に関係しています。
子供は文を繰り返すことで語彙の使い方や文の構造を学び、自然に話し言葉を身につけていきます。
この能力が発達していることは、後の会話力や読み書き能力の基盤になるため、非常に重要です。
定型発達において3歳頃は語彙が増えると同時に、文法の使用も正確性が高まっていきます。
このため、多語文をそのまま復唱することが可能になっていきます。
また復唱は単なるオウム返しではなく、「内容を聞き取り、記憶し、理解して再現する」という一連の高度な認知活動によって成り立っています。
できないときの対応
文の復唱がうまくできない場合、まずは一文を短く区切り簡単な語句から繰り返す練習を始めると良いでしょう。
たとえば「りんご」や「りんごを食べる」といった短い言葉・文を、視覚的な手がかり(絵カードや実物)と一緒に提示します。
また、子供が注目しているときに話しかけたり、興味のあるテーマを使ったりすることで、言葉への関心を高めやすくなります。
そもそも復唱が苦手な子の中には、大人が文を提示する際に注意が向いていない子も少なくありません。
復唱を促すときは、間違っても否定せず、「こう言ってみようね」と優しく正しい言い方を示してあげましょう。
わからない部分を自分勝手にアレンジせず、今は真似をする練習なんだと活動の意図を共有することも重要です。
何度も繰り返す中で、徐々に言葉のパターンや文の形に慣れていきます。
できたときに次にすること
文の復唱が正確にできると、他者が言ったことや指示を正確に把握する力につながっていきます。
たとえば「冷蔵庫からバターとチーズを取ってきて」といった指示があるとします。
文を正確に復唱できれば、冷蔵庫に行きながら「バターとチーズ……」のように頭の中で指示を再確認することができます。
また、文の復唱を通して文の型を学んだことで、「自分の言葉で文で話す力」につながっていくことも期待できます。
復唱は模倣の段階ですが、次は自分の経験や気持ちをもとに、文を組み立てる力が求められます。
たとえば「今日は滑り台で遊んだよ」と自分から伝える場面が増え、会話のキャッチボールがスムーズになるかもしれません。
この頃から、親や保育者が子供の話にしっかり耳を傾け、会話を広げていくことで、表現力とコミュニケーション能力がさらに発達していくことが期待できるでしょう。
参考資料
『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧




