発達性読み書き障害の日本語圏と英語圏の違い
諸説あるものの、発達性読み書き障害の背景は日本語圏と英語圏ではやや違ったものがあると考えられます。
これは日本語圏は平仮名・片仮名に加えて漢字を用いる点、英語圏ではアルファベットを用いる点が関係しています。
解説
英語圏の発達性読み書き障害
読み書き障害には、なんらかの視覚機能の障害が背景となっている可能性があります。(ただし、一口に視覚機能と言っても幅広く、研究や評価の仕方によっては異常が認められない症例もあるため完全に統一された見解ではありません)
英語圏では、発達性読み書き障害では視覚機能のうち視覚刺激の動きの知覚やフリッカー刺激の知覚、低空間周波数の刺激の低下を指摘する研究が多いです。
フリッカー刺激とは、点滅による刺激を指します。
低空間周波数の刺激とは、端的には輪郭がぼやけたものの知覚です。
要するに動きのあるものや点滅するもの、ぼやけたものを視覚的に知覚することが苦手であるということです。
このように、英語圏では発達性読み書き障害について比較的低次の機能障害に言及するケースが多いです。
日本語圏の発達性読み書き障害
一方で、日本語圏では発達性読み書き障害について比較的高次の機能障害に言及するケースが多いです。
視覚認知機能や視覚性記憶機能などがこれに該当します。
この理由としては、日本語の読み書きでは漢字が用いられ、漢字はアルファベットより複雑な図形と考えられるからです。
つまりアルファベットなど比較的シンプルな文字を使う英語圏では、見え方や視覚的な感じ方といった比較的低次の機能障害が影響するのではないかという研究が多いです。
これに対し、比較的複雑な図形となる漢字を用いる日本語圏では、複雑な図形を目で見て覚え、それを統合して1つの意味に落とし込む比較的高次の機能についての障害が影響するのではないかと考えられています。
参考資料
『LD等の用語解説』(一般社団法人 日本LD学会)2026年1月24日閲覧
『ディスレクシア』(国立成育医療研究センター)2026年1月25日閲覧
後藤多可志、宇野彰、春原則子、金子真人、粟屋徳子、狐塚順子、片野晶子(2010)『発達性読み書き障害児における視機能, 視知覚および視覚認知機能について』(日本音声言語医学会)2026年1月24日閲覧


