昨日のことを話せること
4歳頃は昨日の出来事を話すことができ始める時期と考えられます。
これは記憶と言葉の成長と言えるでしょう。
過去の体験を順序立てて語る力は、社会的な会話の基礎を育む重要な経験になります。
解説
発達の概要
子供は幼い頃、はじめのうちは「今」「ここ」の話題しか話すことができません。
これを現前事象の発話と言います。
言葉が発達していく中で、こういった現前事象の会話から「今」「ここ」以外、つまり過去や未来の時間軸を認知しその話題を話すことができるようになっていきます。
このような会話を非現前事象の発話と言います。
非現前事象の発話とは、たとえば今日すでにあった出来事や、昨日のことなどがあります。
定型発達において4歳歳頃の子供は、時間の概念を少しずつ理解し昨日の話題について話すことができるようになっていきます。
この時期になると、印象に残った遊びや出来事を思い出し、「昨日は公園で滑り台をした」などと話せるようになります。
これは記憶を保持し、それを言葉にして他者に伝える力の成長と言えます。
できないときの対応
昨日の出来事を話すことが難しい場合は、その子に合わせて少しずつ時間軸を広げた会話を行っていきましょう。
たとえば「今日の出来事」や「さっきのこと」などです。
こういった「今」「ここ」でない話題で会話をしながら、少しずつその時間軸を伸ばしていきます。
「誰と遊んだの?」「どんな遊びをしたの?」など、思い出しやすい手がかりを与えることも場合によっては役立つでしょう。
いずれにせよ急かしたり問いただしたり、すぐに正そうとせず、最後まで子供のペースで話を聞き促す姿勢が大切です。
それが子供にとって安心感となり、言葉を話しやすい環境となるでしょう。
できたとき次にすること
昨日の出来事を話せるようになったら、今度はそこに自分の考えや気持ちを加えて話す機会も有意義でしょう。
たとえば「昨日公園で遊んで楽しかった」「少し怖かった」などです。
これにより、単なる出来事の報告ではなく、相手との気持ちの共有ができるようになります。
また、話の順序を整理するなど時系列も意識すると良い刺激になるかもしれません。
このように、普段の何気ない会話でもその子に合わせた話題を設定することで、言葉の発達を促す時間となり得ます。
参考資料
『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧

