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AX-CPT課題における大人と子供の違い
AX-CPT課題において子供は場当たり的な反応傾向を示す場合があります。
つまり予測的制御が見られず反応的制御のみで遂行しようとします。
この傾向は3歳頃に顕著で、8歳頃には成人と同様に予測的制御が見られ始めます。
子供の実行機能が大人と異なり単一の機能に依存しがちな例の1つであると言えます。
解説
AX-CPT課題における予測的制御
AX-CPT課題は以前述べた通り「A→X」という特定の組み合わせのときのみ特定の反応をしないといけない課題です。
つまり「B」が出たときは次に何が来ようとすることは決まりますが、「A」の際は次が「X」なのか「Y」なのか身構えなければいけません。
このように課題の内容を理解し予測ができれば、「A」のときと「B」のときで認知的負荷が異なります。
成人におけるAX-CPT課題
AX-CPT課題において成人の場合は一般的に「AY」のときが「BX」や「BY」よりエラーが多いです。
これは先述のように「BX」や「BY」は「B」の時点で予測がつくのでエラーが少なくて済みますが、「AY」は「AX」の可能性を視野に入れないといけないためです。
小児におけるAX-CPT課題
AX-CPT課題において3歳くらいの子供の場合、成人と異なりエラーのパターンに偏りがないことがあります。
つまり「A」の刺激も「B」の刺激も予測をしておらず、「X」「Y」に対して場当たり的に反応していると言えます。
大人であれば「A」が出れば、「次にXが出たら反応しなければ」と身構え、「B」なら「どのみち今回は反応しなくていいな」となります。
しかし子供の場合は「X」が出たときにはじめて「あれ、さっきAが出たってBが出たっけ」とさかのぼって考えるような処理をすると考えられます。
しかし8歳くらいになると大人と同じように予測的制御が可能になり、大人のようなエラーパターンになっていきます。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索
