アイスクリーム課題とは?
アイスクリーム課題とは、心の理論の理解度を見る誤信念課題の一例です。
誤信念課題には「サリーとアン課題」などで有名な一次的誤信念課題と、このアイスクリーム課題のような二次的誤信念課題があります。
一次的誤信念課題が
「Aさんは○○と思っている」
という他者の状況理解を問われるのに対し、
二次的誤信念課題は
「Aさんは○○と思っているとBさんは思っている」
という入れ子構造の状況理解を問われます。
このため二次的誤信念課題は一次的誤信念課題よりも難易度が高い課題とされます。
アイスクリーム課題の内容
研究者によって微妙に名前や言い回しが異なることがありますが、アイスクリーム課題はおおむね以下のような内容になります。
ジョンとメアリーは公園にいます。
公園にはアイスクリーム屋さんの車も来ています。
メアリーはアイスクリームを買いたかったですが、お金を持ってきていませんでした。
アイスクリーム屋さんは午後も同じ公園にいるというので、メアリーはお金を取りに戻りました。
しばらくして、アイスクリーム屋さんは教会に行くとジョンに伝え、移動しました。
その途中、メアリーの家の前を通ったアイスクリーム屋さんは、メアリーにも教会に行くことを伝えました。
しばらくして自宅に戻ったジョンは、宿題のことで聞きたいことがあり、メアリーの家に行きます。
しかしメアリーはすでにアイスクリームを買いに出かけていました。
ジョンはメアリーを追いかけて行きました。
このストーリーに対して、
「ジョンはメアリーがどこに行ったと思っているか」を問います。
ジョンはメアリーがアイスクリーム屋さんと話せたことを知らないわけですから、答えは「公園に行ったと思っている」が正解になります。
この物語ではジョンはメアリーを探しに公園に行きますが、実際メアリーはアイスクリームを買いに教会に行っています。
そのためジョンが公園に着いた頃にはメアリーはいないことが予想できます。
アイスクリーム課題の解説
アイスクリーム課題のような二次的誤信念課題は、「Aさんは○○と思っているとBさんは思っている」という構成を持ちます。
このような入り組んだ人の意図に対して理解が芽生え始めるのは6~7歳頃と考えられています。
しかしながら実際のアイスクリーム課題を見てもわかる通り、二次的誤信念課題は登場人物達の意図だけでなく文章自体が難しい傾向にあります。
そのため二次的誤信念課題は人の心情をわかるわからない以前に問題文自体の理解ができず誤答に至るケースも少なくありません。
こういった背景から、二次的誤信念の理解が芽生え始めるのは6~7歳頃ですが、実際にアイスクリーム課題を正答するのは9~10歳頃であることも多いです。
補足記事
参考資料
『児童期における再帰的な心的状態の理解』(日本教育心理学会)2020年10月2日検索