妨害と欺き課題とは?
「妨害と欺き課題」とは、心の理論に関する課題の1つです。
状況に応じて罪のない嘘をつくことができるか、その判断をできるかを問います。
妨害と欺き課題の解説
問題の内容
妨害と欺き課題においては「おもちゃばこのもんだい」が有名です。
箱の中にオモチャが入っています。
サンタさんはオモチャを見つけるともうひとつオモチャをくれます。
泥棒はオモチャを見つけると持っていってしまいます。
サンタさんにはオモチャが見つかるよう助けましょう。
泥棒にはオモチャが見つからないようじゃましましょう。質問1:
サンタさんがきました。あなたは箱に鍵をかけますか、それとも開けておきますか?質問2:
泥棒がきました。あなたは箱に鍵をかけますか、それとも開けておきますか?質問3:
箱の鍵がなくなってしまいました。サンタさんがきて「箱には鍵がかかってる?それとも開いてる?」と尋ねました。あなたは何と答えますか?質問4:
泥棒がきて「箱には鍵がかかってる?それとも開いてる?」と尋ねました。あなたは何と答えますか?「アニメーション版 心の理論課題 課題構成」より引用
答えと解説
答えはおおむね以下のようになります。
質問1:開けておく。
質問2:鍵をかける。
質問3:開いていると答える。
質問4:鍵がかかっていると答える。
いずれにおいても、事実とは別にサンタさんからおもちゃをもらって泥棒からおもちゃを取られないように工夫します。
そのためには、いかに泥棒におもちゃを取ることができないと思わせるかが重要です。
心の理論の中核を成す概念に「誤信念の理解」があります。
事実が正しいかどうかではなく、相手がどう思うか。相手が物事に対して間違った認識を持つこともあるということを理解できる能力です。
箱の鍵がかかっているかどうかの事実は置いておいて、「鍵がかかっている」と言うことで「泥棒に(本当は開いている箱の)鍵がかかっている」と思わせることができます。
このように、妨害と欺き課題は相手の誤信念を想定して自分の言動を調整する力を見られます。
補足記事
参考資料
『発達障害における基礎研究と臨床への適用 自閉症スペクトラム障害と心の理論の視点から』( 一般社団法人 日本発達心理学会)2021年2月23日検索
『アニメーション版 心の理論課題 課題構成』(DIK 教育出版)2021年2月23日検索