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孤独な人をほど相手の気持ちがわかる?|行動経済学

公開日:2022年11月23日


 
 

孤独な人をほど相手の気持ちがわかる?

 孤独で人間関係を求めている人ほど、他者の気持ちを読む力に敏感である場合があります。

 一般に相手がどんな気持ちか察する力はコミュニケーション能力であり、人間関係を上手く築けている人の方がそのような力が優れていると思いがちです。

 豊かな人間関係の構築にコミュニケーション能力は欠かせませんが、その一方で孤独であるがゆえに他者の言動に敏感になりそういった洞察力が強くなる場合もあります。

 
 
 

研究

孤独の研究

 人間の孤独についての研究に、様々な顔写真を提示しその感情を読み取る実験があります。

 顔写真の呈示は1秒程度でどんどん行われ、被験者は瞬時の判断で人の感情を読み取る必要があります。

 この実験によると、孤独な人達の方が顔写真の感情を上手く読むことができたということです。

 一般的に、人間関係が豊かで日常的に他者と接している人の方が人の感情に敏感になれるイメージがあるのではないでしょうか。

 しかしこの実験によると、日常が孤独で人間関係が不足している人の方がそういった洞察力に敏感になれる可能性がうかがえます。

 
 

文章から人物像を読み取る力

 別の実験で、日記の文章を読んで書いた人がどのような人物かイメージしてもらい、一定時間後に日記の内容を思い出してもらうものがあります。

 この実験によると、他人との交流など社会的内容については孤独な人の方がより正確に思い出すことができたそうです。

 ちなみに社会的内容とは異なる単なる事柄については、孤独な人もそうでない人も思い出せる量に大きな差はなかったとのことです。

 
 
 

解説

 上記の研究から、主に2つの教訓が読み取れるのではないでしょうか。

 1つ目は人間関係の欠乏はむしろ他者の言動に対して敏感になってしまう可能性があるということ。

 孤独であることは必ずしもその人のコミュニケーション能力に由来するものではなく、環境的な要因もあり得るということが考えられます。

 2つ目は、豊かな人間関係には、相手の意図を読み取る力以外のもっと多面的な能力・環境が必要であるということではないでしょうか。

 
 
 

参考資料

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