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「し」の短文レベルでの練習
前回のステップにて、「し」のつく単語の練習を行いました。
このステップでは「し」の句および短文、つまり文章レベルでの構音を目指します。
自発話における単語の熟達を確認しつつ、短文の練習に移行します。
解説
意義
単語での構音を熟達させつつ、文章に移行します。また自発話での構音もしっかりチェックしていきます。
日常会話での正しい構音に際して、橋渡しとなるのがこの文章レベルでの練習です。
まずは「○○と○○」といった単語の組み合わせ、つまり句のレベルで練習します。
それらが熟達したら短文、文章へと移行します。
子供の発達状況によっては、文章の復唱が(文を覚えることができず)難しい場合もあるかもしれません。
その子の文章復唱が難しい背景によって個別に対応していきましょう。
例えば知的に遅れがある場合は、全体的な発達水準を底上げする必要があるかもしれません。
例えば注意が逸れる・落ち着きがない場合は、文章を集中して聞き取る習慣形成が必要かもしれません。
その子その子の背景に着目して対応していきます。
いずれにせよ文章を正確に復唱する記憶力・集中力が必要になります。
方法・手順
絵カード呼称
前段階として、単語の自発話を確認します。「し」がつく単語の絵カードを用いて、子供に呼称してもらいます。
復唱や音読ではなく、自発話で正しく構音できるかは重要なポイントです。
子供が誤った場合は「え、あち(足)?」などのように修正を促します。
単語をつなぐ
「鹿と牛」のように単語をつないで複数の語を一度に言っていきます。
単語の練習と文章の練習を中間、橋渡し的な課題と言えるでしょう。
「鹿の後ろ」「知らないしるし」のように短い2語文程度のもので練習します。
絵カードでランダムに組み合わせを作って「○○と○○」といったゲーム形式で行うと数をこなしやすいでしょう。
クイズ形式で自発話の促し
「鉛筆の字を消すときに使う道具ってなーんだ?(消しゴム)」のように、クイズ形式で自発話を促します。
これにより自分で想起した言葉で正しく構音できるように練習していきます。
短文の練習
単語の自発話が熟達したら、文章の練習に移ります。
「シマウマの足はしましまですか」
「しの字を消しゴムで消しました」
短い文章を読んだり復唱したりして練習していきます。
「し」の音が頻発する文章をあらかじめ準備しておくと練習がはかどるでしょう。
追いかけ型の練習
復唱練習の一種として、指導者の文章を反響言語のように繰り返す方法があります。
指導者「牛の足」
子供「牛の足」
指導者「『し』が上手に言えてますね」
子供「『し』が上手に言えてますね」
指導者「『し』が『ち』にならないよう気をつけましょう」
子供「『し』が『ち』にならないよう気をつけましょう」
例としては上記のようになります。
遅延模倣による追いかけ型の練習
より自然で実用的な構音を目指す上で効果的なのが、この遅延模倣を取り入れた追いかけ型の練習です。
ジェスチャーなどを含めた模倣・復唱を指導者の合図で行います。
時間差があるのでより実践的な練習となります。
例えば以下のようなやり方があるでしょう。
指導者:(ジェスチャーを行って)「静かにしましょう」
(指導者が合図をしたあと)
子供:(ジェスチャーを行って)「静かにしましょう」
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構音訓練の一覧
参考資料
湧井豊『構音障害の指導技法-音の出し方とそのプログラム-』学苑社、1992年