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「きゃ・きゅ・きょ」の語内位置弁別
カ行の拗音の耳の訓練として、語内位置弁別を行います。
音の聞き出しのステップと同様、「きゃ・きゅ・きょ」3つの音を1つずつ行うか3つ並行して行うかはその子のレベルに合わせます。
構音訓練は基本的には音を1つずつ練習することが望ましいですが、波及効果により練習が省略できる場合はその限りではありません。
「か・く・け・こ」の練習が終わり「き」および「きゃ・きゅ・きょ」の練習に進んでいるというオーソドックスな流れであれば、波及効果も十分期待できるでしょう。
解説
意義・意図
練習対象の音は単語のどの位置に含まれているのかを聞き分けてもらいます。
語内位置弁別の段階は前段階の「音の聞き出し」より詳細な聞く力を求められます。
練習方法
丸を指す
紙に「〇 〇」のように複数の〇を書いておきます。
「『きょり(距離)』は、どこが『きょ』かな?」のように聞き、丸を指差して位置を答えてもらいます。
はじめは2音節の単語で行い、できるようになったら3音節、4音節とレベルアップしていきます。
「きゃ・きゅ・きょ」」がつく単語の例としては、以下のようなものがあるでしょう。
- キャラメル
- きゅうり
- きょうそう(競争)
- とっきゅう(特急)
- こうきゅう(高級)
- とうきょう(東京)
- かんきゃく(観客)
- たんきゅうしん(探求心)
- べんきょうかい(勉強会)
ちなみに拗音は文字に書くと2文字ですが、音としては1音として認知されるでしょう。
このため例えば「きょり(距離)」は平仮名で書くと3文字、音の数としては2つであることを少し触れながら学習すると子供の混乱を避けられるかもしれません。
語内位置弁別のゲーム
上記の練習をシールを使った遊び形式で行うこともできます。
例えば100円ショップで小さいサイズの果物や動物、花などのシールを準備します。
紙に書くのを〇ではなく、カゴや家のイラストにします。
単語を聞かせ、練習音がある位置のかごに果物シールを貼ります。あるいは家に動物シールを貼ります。
このようにして、語内位置弁別を行い正しい場所にシールを貼っていきます。
学習内容は同じですが、シールを貼る遊びの要素をかごに果物が入っていくストーリー性で子供は通常の練習より楽しめるでしょう。
あるいは、黒ひげゲームなどを使って正解したら剣を刺すなどでモチベーションを促してもいいでしょう。
もっと単純なものでは、練習する回数分のマス目がある紙を準備し、そこにシールを貼ったり花丸を書くといった方法もあります。
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参考資料
湧井豊『構音障害の指導技法-音の出し方とそのプログラム-』学苑社、1992年