ポジティブの反対はネガティブではない
言葉としては「ポジティブ」の対義語は「ネガティブ」とされています。
一方で、心理学的にはポジティブの反対はそういった感情の欠如、つまり「情動の平板化」と考えると人の性格分析に役立つ場合があります。
性格分析において有名な「ビッグファイブ」にて、ポジティブとネガティブの関係を見ていきます。
解説
ビッグファイブとは?
ビッグファイブとは、人の性格を5つの要素で考える理論のことです。
「ビッグ・ファイブ理論」「5因子理論」など言い方は様々ですが、性格分析において有名な手法の1つです。
- N:神経質傾向(Neuroticism)
- E:外向性(Extraversion)
- O:開放性(Openness to Experience)
- C:誠実性(Conscientiousness)
- A:調和性(Agreeableness)
ビックファイブにおいて人の性格は上記のような5つの要素のバランスで説明されます。
このうち外向性は文字通り関心が外へ向いていることであり、刺激や自己主張、社交を求める傾向にあります。
一方で、神経質傾向は怒りや不安といったネガティブな感情に関連します。
情動への反応
外向性が高い人は喜びや興奮といった情動に敏感で、俗にポジティブに見えるケースが多いです。
しかしながら、外向性が低いからといってネガティブとは限りません。
ポジティブな情動の強弱は、ネガティブな情動の強弱を予想させるものではありません。
ポジティブな情動に強く反応する人がいる一方で、そういった情動にあまり関心を示さない人がいます。
それはその人がネガティブなわけでなく、ポジティブな情動に対して興味が薄いと言えます。
一方で、不安などに対する敏感さは神経質傾向などから予想することができます。
このようにポジティブとネガティブは別の要素と考えることができ、1つの軸の両端ではないことがわかります。
ビッグ・ファイブ理論とは?
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年