うつ病の原因は環境か?性格か?
鬱病の原因はその人の「気質」と、身に起こった「出来事」の相互作用と考えられます。
鬱病の発症には環境要因も大きいですが、一方でストレスを感じやすい気質の差もリスク要因と言えます。
具体的には人の性格における「神経質傾向」の高さが関連します。
解説
ビッグファイブとは?
人の性格を5つの要素で考える理論を「ビッグファイブ」と言います。
「神経質傾向」はこの5つの要素の1つであり、怒りや不安といった主にネガティブな情動に関連します。
ちなみに5つの要素は以下のようになっています。
- N:神経質傾向(Neuroticism)
- E:外向性(Extraversion)
- O:開放性(Openness to Experience)
- C:誠実性(Conscientiousness)
- A:調和性(Agreeableness)
神経質傾向の高さは鬱病の発症しやすさに関連すると考えられています。
ただし神経質傾向は物事のリスクや危険度を注意深く感じ取る情緒とも言え、これ自体が「良い・悪い」というわけではありません。
性格か?環境か?
心理学者のダニエル・ネトルは、鬱病の発症においてその人の気質を「土地の高さ」、ストレスに関する出来事を「海面の高さ」に例えています。
土地が高い、つまり神経質傾向が低く元々ストレスに強い人は海面が少しくらい上がっても(つまりストレスがかかっても)浸水することはありません。
一方で土地が低い、つまり神経質傾向が強くストレスに弱い人は、少しの海面上昇で溺れてしまいます。
鬱病の発症は気質だけでも出来事だけでもなく、これらが相互に作用して起こる結果と言えます。
ビッグ・ファイブ理論とは?
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年