人はなぜ悲しむのか?
人間に「悲しみ」という感情がなぜあるのかについては、完全には解明されていません。
しかしながら心理学における仮説としては以下のようなものが挙げられています。
- 社会的信号
- 失敗時の退去
- 認知の役割
以下、それぞれ見ていきます。
解説
社会的信号
人が悲しみの感情を持つ理由は、それにより相手に助けを求めるためという説があります。
つまり物事に挫折し悲しむことで、信頼できる人や大切な人に「私やもう無理です。支えてください」というSOSを発信しているということです。
ポジティブであることは時として自分が傷ついたり心が疲れたりしていることに気づけないかもしれません。
そういう意味では、悲しみを感じ他者に助けを求めるというのは大切な機能かもしれません。
失敗時の退去
人に悲しみがある理由は、失敗したりまずい状況になったときに潔く身を引く、つまり自己防衛という仮説もあります。
一般論として失敗を恐れない心は大切ですが、失敗にまったく動じないというのも考え物かもしれません。
失敗や悲しい状況に対して心が揺れ動き足が止まることで、「もっと最悪の事態」を避けることができるかもしれません。
勇敢に進み続けることも大切ですが、無謀に進み続けることは時としてもっと悪い事態を引き起こすでしょう。
認知の役割
人が悲しむ理由はその出来事をしっかりと認知し学ぶためという仮説もあります。
失敗や悲しい出来事が起こったときに、それを悲しみぬくことで何かを学んだり次に活かせる教訓を得ることができるかもしれません。
悲しみ心が深く揺れ動いたことで、しっかりと記憶に残り学びとなるかもしれません。
このように悲しいという感情はネガティブな物事に対する学習を促進するのではないかという仮説です。
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年