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不安の類型
不安はその内容によっていくつかの種類があると考えられます。
実際はこれらが混ざり合っている場合もあるかと思いますが、いずれにせよ不安の背景を知ることがアプローチにおいて重要でしょう。
以下、不安の類型を見ていきます。
解説
全般性不安
不安というより「安心感の欠如」と言える状態です。
人の言動を悪い方向に受け止めたり、起こっていない出来事に不安を感じたりする状態です。
いわゆる「取り越し苦労」もこれに該当するでしょう。
恐怖症
特定の対象に対して強い不安が生じ、時にはパニックを起こします。
対象は高所や車、動物や医療など様々です。
対象に接していないときは落ち着いていても、不安になりたくないため回避のための努力に没頭するなど、行動に制約が生じることがあります。
対人不安
社交不安、対人恐怖とも言います。
人と接するときにだけに限局した不安です。
多くの場合、自分の行動を他人から評価されるような場面・人の前で感じやすいです。
赤面、発汗など自律神経症状を伴うことが多いです。
予期不安
将来悪いことが起こるのではないかといった類の不安です。
些細な出来事を悪い予兆としてとらえがちです。
パニック発作
突発的な強い不安と著しい自律神経発作を生じます。
症状としては動悸や呼吸困難が著明です。
人によっては恐怖と感じることもあります。
このため自分はどうなってしまうのかという二次性の不安を抱く場合もあります。
トラウマ性不安
当時の感情と出来事の記憶がフラッシュバックのように再体験され、強い不安を生じます。
PTSDなどにに認められます。
生死の危険に瀕するなど、恐怖に関する条件付けが形成された状態と言えます。
強迫
理性的には馬鹿げているとわかっていながら、同じ観念を何度も思い浮かべて不安を抱いてしまいます。
強迫観念と言え、確認したり安心するための反復行為(強迫行動)を行う場合もあります。
戸締りを何度も確認する、何度も手を洗ってしまうなどです。
参考資料
金吉晴(2013)『不安障害』(一般社団法人 日本内科学会)2025年9月7日閲覧
