食事に気をつけると子供の味覚は鍛えられるのか?
わずかな味の違いやおいしさがわかる人のことを「舌が肥えてる」なんて言いますね。
反対に、味の違いが大雑把で、なんでも調味料をドバっとかけてしまう人を「味音痴」なんて言ったりしますね。
いずれにせよ、
我が子には味の違いがわかる、食事を楽しめる子になってほしいと思うのが親心というもの。
そこで毎日の食事の食材や調理方法、味付けに気を配る親御さんも多いのではないでしょうか。
子供の頃の食事に気を遣うことで、子供の味覚はより発達するのでしょうか?
身も蓋もないですが、
子供の頃の食習慣で味覚の感度が特別に上がるわけではありません。
以下、もう少し詳しく。
「味覚が優れている」とは?
何をもって「味覚が優れている」と考えましょう?
先述の通り「舌が肥える」とは一般に「わずかな味の違いやおいしさがわかること」を指しますね。
しかしながら何を「おいしい」と感じるかは文化や思想によっても異なります。
納豆をおいしいと感じる国もあれば、なんだか気持ち悪いと考える国あるいは人もいるでしょう。
そのため、ここで言う「味覚が優れている」とは「味の違いがわかる」という面で考えたいと思います。
要するに、
わずかな違いで「甘い」とか「しょっぱい」とかを感じることができる味覚の敏感さですね。
こういったことを味覚の「感度」とか「閾値」と言ったりします。
子供の頃の食生活とその後の味覚の感度の影響
医学博士であり鈴峯女子短期大学教授の岡本洋子氏の研究によると、
6~11歳の食事状況が健全な者とそうでなかった者で、その後の味覚の感度に優位な差はないとされています。
6~11歳というのはだいたい小学生の時期ですね。
要するに
小学生の頃の食習慣に気をつけたからといって、人よりも味の違いがわかるようになるとは限らないということです。
おわりに
今回は「味の違いがわかるか」という観点から考えました。
小学生の頃の食事状況の違いで、大人になってからの味覚の敏感さに科学的には差はないようです。
一方で、別の文献などを見ると健全な食生活を送ることは味覚ではなく発達全体の話で良い影響もあるようです。
食事というのは単に味だけでなく、そのシチュエーションや誰と食べるかといったコミュニケーションも重要になってきます。
「家族で楽しい食事の時間」を心がけることは有意義なことだと思います。
その他の記事
参考資料
『幼児期における食事のあり方は味覚感受性や心身の発達に影響を及ぼすか』(J-STAGE)2019年8月28日検索
『幼児の食味嗜好性および味覚閾値』(J-STAGE)2019年8月28日検索
『小学生の食味嗜好傾向および味覚閾値』(J-STAGE)2019年8月28日検索