前回、子供の嘘の質や頻度、捉え方やその成長過程について書きました。
前回の記事:子供は何歳から嘘をつくのか?② ~子供の嘘と発達の関係~
今日は子供の嘘に対しての親のスタンスを考えます。
子供は嘘をつくべきではないのでしょうか?
嘘をつくにはそれなりの言語能力・思考能力・記憶力などが必要で、子供が嘘をつきはじめるというのは発達の指標であるとも言えます。
子供は4歳前後で嘘をつきはじめます。
そして6歳頃にはずいぶん矛盾のない巧みな嘘をつくことができます。
ピークの頃には全体の96%の子供が嘘をつきます。
嘘をつく行為自体は誰もが通る道と考えることができます。
子供は嘘が目立ち始めたと思うと、ある時期からあっけなく嘘をつく頻度が減り嘘を卒業する時期がきます。
具体的には7歳頃には3分の2の子供が以前より嘘の頻度が減少し嘘を卒業します。
先ほど書いた通り、嘘は子供が成長する中で誰もが通る道です。
子供の嘘に対してあまりにも過剰な叱責を与えるのはベストな選択ではありません。
子供の嘘は、言葉の成長です。
言葉の成長には、言葉のキャッチボールは欠かせません。
子供が嘘をついたら、まずは子供の言い分・子供の話を子供のペースで聞いてあげることです。
そして、子供が嘘をついた背景に着目します。
そうしながら、子供が嘘を卒業するのをしばらくは見守ることが必要です。
例えば黙ってお菓子を食べたことで嘘をついているなら、食生活が他のお子さんより厳し過ぎないでしょうか?
例えばジュースをこぼしたことを子供が隠したら、食事の際、お子さんを小さい頃から目を離し過ぎていないでしょうか?
子供の嘘を怒りにまかせて非難するのではなく、嘘の背景を取り除くことが大切です。
もしかしたら、子供さんはどこかで寂しい思いをしたのかもしれません。
小学生になると保育園・幼稚園時代より人間関係が複雑になります。
「嘘をつくことも友情には必要」という状況が出てきます。
「秘密を守ることが人間関係には必要」と学びます。
人間関係を円滑にするために、子供は適材適所で嘘を使い始めます。
一方で、嘘にはストレスを発散させたり周りに注目してもらえる効果もあります。
この「ストレス発散」であったり「注目してもらいたい」といった目的のために嘘を使うと習慣化してしまいます。この状況は回避しないといけません。
子供の嘘が急に増えたら、人間関係にストレスがないか、子供の生活に変化がないか見てあげましょう。
嘘は子供の成長に欠かせないとはいっても、いつまでも嘘ばかりついているわけにもいけません。
また、子供が嘘をつく背景になにか重要なものが隠れているとしたら、親としては放ってはおけません。
子供の嘘に対してどのように向き合い、どのような教育をしたらよいのでしょう?
次回に続きます。
次の記事:子供は何歳から嘘をつくのか?④ ~子供の嘘に対する教育~
【参考文献】
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年