早期療育は効果があるのか?
早期療育を行うことで、行わなかった場合と比べて以下のような点が充実することが予想されています。
- 本人が他児へ自ら働きかけるコミュニケーション能力
- 保護者が本人の障害特性を理解した上での関り
解説
早期療育のエビデンス
国立成育医療研究センターの研究によると、早期療育を行った自閉症スペクトラム障害児はそうでない児より冒頭のような変化が見られたそうです。
1つはコミュニケーション面の変化であり、他者に自分から関わる能力の向上が見られました。
また、もう1つは本人の変化ではなく保護者の変化になりますが、子供の波長に合わせて対応する力が向上したそうです。
これは保護者が本人の障害特性を理解し、より効果的な接し方をできるようになったと言えるでしょう。
もちろん発達には個人差がありますから、誰でも早期療育を行えば一律の結果が出るというわけではありません。
しかし上記の研究は統計処理を行った比較的規模の大きい研究ですので、早期療育に関する客観的な情報の1つと言えるでしょう。
早期療育でなんでも向上するわけではない
一方で、この研究では自閉スペクトラム障害の重症度・発達指数・受容性言語・表出性言語に有意な差はなかったようです。
もちろんこれも個人差があるのであくまで統計上の話ではありますが。
しかし傾向としては、早期療育は本人のコミュニケーション能力や保護者の特性理解に一定の効果が期待できる一方で、
例えば障害自体の程度を軽くしたり、発達指数(IQなど)を特別に上げたり、言葉の巧みさを上達させるとは限らないと言えます。
参考資料
『障害児に対する早期療育及び教育』(内閣府)2021年9月8日検索
『ライフステージに応じた自閉症スペクトラム者に対する支援のための手引き』(国立精神・神経医療研究センター)2021年9月8日検索
『就学前早期の自閉症児への療育介入は、社会予後を改善させる可能性』(国立成育医療研究センター)2021年9月8日検索
『ノーマライゼーション 障害者の福祉』(障害保険福祉研究情報システム)2021年9月8日検索
『自閉症スペクトラム障害の早期発見のポイント』(国立精神・神経医療研究センター)2021年9月8日検索