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早期療育の意義
従来よりも早い時期から支援を行うことを早期療育と言います。
基本的に適切な支援内容であれば、療育は遅いより早い方が有意義です。
時折、「早すぎる療育はその子の個性を損なう」「早すぎる療育は子供の発達を心配しすぎている」といった意見も聞きます。
しかしそれは、そもそも「子供の発達や支援の必要性を適切に評価できていない」という誤診の問題であり論点が異なります。
療育が必要ない子に療育を行うのは早期だろうと遅い時期だろうと不要です。
以上を踏まえた上で、早期療育のメリット・デメリットを考えていきます。
早期療育のメリット
子供のコミュニケーション能力の向上
国立成育医療研究センターの研究によると、
適切な早期療育はコミュニケーション能力の向上の可能性がが示唆されています。
発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害などの場合、コミュニケーション面の苦手さが見られるので早期療育にメリットの1つと言えます。
保護者の精神的ケア
全員ではありませんが、発達障害の子を持つ親は「育てにくさ」や「周囲に理解されない孤独」を抱えることがあります。
早期療育はこういった状況に対し早期に相談できる第三者や専門家とつながりを持てるため親の育児不安やストレスが緩和される傾向にあります。
早期療育のデメリット
早期の障害受容
デメリットと言うと語弊がありますが、
早い時期から子供の発達や障害を直視することは親のとって酷なものです。
だから遅い方がいいというわけではありませんが。
しかしこのあたりは理屈ではない葛藤があるのも実際のところと言えます。
療育内容を理解しにくい
早期療育の場合、子供が療育の先生の言うことを聞いて勉強するということは稀でしょう。
子供が特に小さいうちの療育は、おおむね子供が遊ぶ中に療育の先生が入っていくいわゆる「子供をうまくのせる」スタイルが多いでしょう。
専門的には子供の視線の動きや遊びの際のイメージ力などを細かく見ながら介入を行うわけですが、親から見ると「ただ子供と一緒に遊んでいるだけ」に見えてしまいがちです。
これにより、「療育は遊んでるだけで意味がない」と親が早合点して早々に療育をやめてしまうことがあります。
これは非常にもったいないことです。
こういった事態を防ぐため、療育の先生は手技・内容の説明を細かくわかりやすく、親は疑問に思ったことをその都度質問して相互に意思疎通を行うことが大切です。
参考資料
『障害児に対する早期療育及び教育』(内閣府)2021年9月8日検索
『ライフステージに応じた自閉症スペクトラム者に対する支援のための手引き』(国立精神・神経医療研究センター)2021年9月8日検索
『就学前早期の自閉症児への療育介入は、社会予後を改善させる可能性』(国立成育医療研究センター)2021年9月8日検索
『ノーマライゼーション 障害者の福祉』(障害保険福祉研究情報システム)2021年9月8日検索
『自閉症スペクトラム障害の早期発見のポイント』(国立精神・神経医療研究センター)2021年9月8日検索