子供の偏食の改善方法
偏食は個人差があり、必ず誰でもなくなるとは限りません。しかし科学的根拠を踏まえると
- 嫌いな食材も食卓に取り入れる
- どのような物と一緒に食べればいいか工夫を一緒に考える
この2点が偏食改善には有意義と考えられます。
解説
行動心理学的には、偏食の改善には「逃避消去法」や「食物同時刺激法」が有意義と考えられています。
これらをシンプルに言うと、冒頭の2点のような表現になります。
以下、これらについて具体的に触れていきます。
偏食に対する心理学的手技
逃避消去法
偏食が偏食のままである背景の1つとして、「嫌いな食べ物を食べないで済ませる→余計にそれを嫌いと自覚する」という負のループが生じていることが考えられます。
この点に着目し、嫌いな食べ物を食べる機会を作るようにすることが「逃避消去法」です。
逃避消去法の最も強いやり方は、「食べるまで席を立たせない」「無理やり食べさせる」などになるのですが、さすがにここまでいくと倫理的に問題があります。
日本栄養改善学会の論文においても、親や先生から無理やり嫌いな物を食べさせられても7割の人は大人になってもそれが嫌いなままであるという見解が見られます。
一方で日本民族衛生学会の論文では、親が子供の嫌いな食べ物を全く食卓に出さない行為は子供の偏食の要因の1つと指摘されています。
以上から折衷案として、たとえ子供が嫌いであってもそれを食卓に取り入れる習慣を維持することは大切であると考えられます。
例えば子供がピーマンが嫌いだとして、「どうせ嫌いで食べないから」と料理に使わないのではなく、少しでもいいからピーマンを使ったメニューを織り交ぜていくことが大切です。
食物同時刺激法
食物同時刺激法とは、文字通り嫌いな食べ物を何かと一緒に食べる方法です。
例えばピーマンは嫌いだけれどハンバーグが好きな子であれば、小さくしたピーマンとハンバーグを一緒にスプーンに乗せてパクっと食べるといった方法です。
あるいはピーマンの肉詰めなど料理自体に織り交ぜる、ピーマンを小さく刻んで見えないようにハンバーグとこねておくなども該当します。
いずれにせよ、好きな食べ物と合わせることで、嫌いな食べ物の味や食感、見た目や匂いを緩和します。
嫌いな食べ物の克服はそれだけを食べさせる根性論ではなかなかうまくいきません。
その食べ物をなぜ嫌いなのか。味なのか食感なのか見た目なのか匂いなのか。
そういったその子なりの理由を聞いてあげます。
そしてその理由を解消するにはどんな食べ方がいいのか提案してあげます。
その方法の中で有効なものの1つが同時刺激法です。
こうして一緒に食べ方を考え食べることができれば、子供の自信にもつながります。
参考資料
『偏食の観点からみた幼稚園児の食習慣に関するパス解析』(一般社団法人 日本家政学会)2021年9月11日検索
『幼児の偏食と生活環境との関連』(日本民族衛生学会)2021年9月11日検索
『母親の就業状況別にみた幼児の偏食とその関連要因』(日本民族衛生学会)2021年9月11日検索
『幼児期前期における嫌いな食べ物の質的変化に関する縦断研究』(特定非営利活動法人 日本栄養改善学会)2021年9月11日検索
『幼児期における嫌いな食品の変化と偏食との関連』(西九州大学)2021年9月11日検索
『食の問題行動に関する臨床発達心理研究(1)偏食の経験的定義』(広島修道大学)2021年9月11日検索
『食の問題行動に関する臨床発達心理研究(2)偏食尺度の標準化と偏食の諸特徴』(広島修道大学)2021年9月11日検索
『自閉スペクトラム症児の偏食に対する食物同時提示法の適用』(NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会)2021年9月11日検索
『自閉症スペクトラム障害児の食事に関する問題の検討』(一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2021年9月11日検索
『自閉症児の食嗜好の実態と偏食への対応に関する調査研究』(公益財団法人 浦上食品 ・ 食文化振興財団)2021年9月11日検索