9~12歳の性教育

【性教育 9,10,11,12歳】性器・生殖・月経や妊娠についての指導方法

公開日:2021年11月21日


 
 

生殖に関する9~12歳の性教育

 本来性教育とは性に関する知識だけでなくそのスタンスなども幅広く網羅して指導すべきです。
 しかしながら、やはり生殖に直接関わることが最も指導しにくいと感じるのではないでしょうか。

 国際的な流れを汲むと、性教育において生殖の具体的なことを指導する時期は9~12歳頃のステップと考えられています。

 
 
 

性教育のエビデンス(科学的根拠)

 国際的な流れとして、性教育は性行為に関する知識だけでなく、ジェンダー平等や性の多様性といった人権尊重を基盤にしたものが主流となりつつあります。

 このような性教育を「包括的性教育」と言い、このガイドラインとしてユネスコによる「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」があります。

 包括的性教育において生殖や妊娠にかなり関わるのは「人間のからだと発達」の項目であり、9~12歳の時期の内容は下記のようにかなり具体的なことにも触れていきます。

 
 
 

学習の要点

性に関する生物学について

  • 性の健康や生殖にかかわる身体の部分について学ぶ
  • 自分の身体や性的機能に関して知りたがったり、疑問を持つことは自然なことであることを認識する
  • 誰の身体もさまざまな大きさ、形状、機能、特徴があり、個々に異なりそれぞれに素晴らしいものであると認識する
  • 性と生殖に関する解剖学および生理学について、信頼できる大人に質問できる環境・関係性を作る

 
 

生殖器について

  • 生殖に関わる重要な機能や、その機序を学ぶ(月経周期、精子の産生、射精など)
  • 女性と男性の身体の両方が、生殖において重要な役割を果たすことを認識する

 
 

生殖について

  • 生殖のために必要な段階を学ぶ
  • ペニスが腟内で射精する性交の結果で妊娠が起こることを学ぶ
  • 性交によって常に妊娠するわけではないことを学ぶ

 
 

月経について

  • 排卵日前後に精子があれば最も妊娠しやすいなど、月経周期には様々な段階があることを学ぶ
  • ホルモンの変化が、月経や最も妊娠をしやすい時期を調節していることを学ぶ
  • 月経周期の働きについてポジティブな認識を持つ
  • 月経は一般的なことで、女子の身体的発達の自然な一部であり、秘密やスティグマとして扱われるべきでないことを認識する
  • 月経周期を学び、その時期に女子が経験する可能性のある様々な身体的症状や気持ちを知る
  • 月経用ナプキンやその他の月経用品の入手方法、使用方法、捨てる方法を学ぶ
  • ジェンダー不平等が月経中の女子の恥ずかしさや恐れの気持ちにどのように影響しているかを学ぶ
  • 月経期間中、全ての女子は月経用ナプキン、その他の月経用品、きれいな水、個室トイレを利用できることが重要であることを認識する
  • 月経期間中も女子が快適に感じるため積極的で支援的な方策を考察する

 
 

男性性器について

  • 前期思春期には、若者は様々な身体的反応を経験することを知る(勃起、夢精など)
  • 若い男性は、起床によってもしくは明確な理由もなく勃起を経験することがあり、それは一般的なことだと理解する
  • 思春期の若者の中には、夢精と呼ばれる、夜の間に勃起し射精する経験をすることがあり、それは一般的なことだと認識する
  • 勃起、夢精、その他の性的反応は、前期思春期の一般的なことであると認識する

 
 

妊娠について

  • 妊娠には一般的な兆候があり、月経が来なかったり遅れたりしているときはできるだけ早く妊娠検査をして確認すべきであることを認識する
  • 妊娠の兆候と、胎児の発達段階について学ぶ
  • 健康的な妊娠と出産の促進を可能にするステップを的確に学ぶ
  • 妊娠を確認する、入手可能な検査方法を知る

 
 

前期思春期について

  • 前期思春期は人の生殖能力における変化の前兆であると知る
  • 前期思春期のプロセスと生殖システムの成熟を学ぶ
  • 前期思春期に起こる主な身体的、感情的変化を挙げる
  • 前期思春期について信頼できる情報を得る様々な方法を学ぶ
  • 衛生的で、清潔に過ごすための習慣を身につける
  • 個人の衛生意識の重要性を認識する

※前期思春期は、おおむね小学校後半から中学校前半の時期を指します。

 
 

外見について

  • 身体的外見は、その人の人として価値を決めるものではないことを認識する
  • 人が何を身体的に魅力的と思うかは、時とともに変化し、文化によっても異なることを認識する
  • 自分自身は何を魅力的と感じているのか、そしてそれは周りが魅力的と感じているものとどう異なるかを考察する

 
 
 

包括的性教育について

 
 
 

参考資料

『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(UNESCO)2021年5月2日検索

『HIV/AIDSについて(ファクトシート)』(厚生労働省検疫所)2021年12月18日検索

『PrEPって?』(国立国際医療研究センター SH外来)2021年12月18日検索

『抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)』(国立研究開発法人国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)2021年12月18日検索

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