「学業」のソーシャルスキル
児童用社会的スキル尺度において、「働きかけ」は社会的スキルを構成すると考えられる因子の1つです。
- 教師の手助けが必要なときに、教師が来てくれるまでの時間を有効に使う
- 授業中に与えられた課題を指示された時間内にやり終える
- ある活動から別の活動へ切り替えが容易である
- 授業中仲間が発表していることをよく聞いている
- 教師が説明しているときに、教師のほうを見ている
- 勉強道具や学校の備品をきちんと片付ける
「学業」の社会的スキルは、具体的には上記のような6つの項目となっています。
解説
因子の意義
社会的スキルにおける「学業」は、集団生活の中で円滑に学業を行うためのスキルを指します。
子供の社会的スキルにおいてもしも「学業」の側面に苦手さがあるのであれば、ソーシャルスキルトレーニングで「学業」の側面にアプローチすることが支援としてより具体的で効果的であると考えられます。
逆に社会的スキルに問題がある子でも、「学業」のスキルに問題がないのであればこの点を練習しても有意義とは言えません。
例えば「学業」のスキルに問題がない一方で、友達の遊びに加われないなどといった「働きかけ」の側面に課題がある子はそちらの面をトレーニングしたほうが有意義でしょう。
平均値
冒頭の項目についてそれぞれ「全くみられない(1点)」「少しみられる(2点)」「時々みられる(3点)」「よくみられる(4点)」「非常によくみられる(5点)」で評価した場合の合計が、児童用社会的スキル尺度における「学業」の得点となります。
学年・性別によって前後しますが、児童用社会的スキル尺度において「学業」の平均は17~23点ほどとなっています。
このため大雑把に言えば、多くの子供は冒頭で挙げたような「学業」の様子が「時々見られる」あるいは「よくみられる」ような授業態度で学習を行えていることが想像できます。
また、これも学年・性別によって前後しますが標準偏差は約4点となっています。
このため極めて大雑把に言えば、「学業」の得点が9~13点以下の場合、学校生活においてその子は学業における社会的スキルが低い可能性が考えられます。
児童用社会的スキル尺度について
参考資料
磯部美良(2006)『児童用社会的スキル尺度教師評定版の作成』(一般社団法人 日本認知・行動療法学会)2024年12月31日閲覧