「ムース食」とは?
「ムース食」とは、食べることや飲み込むことの障害である「摂食嚥下障害」の方に対する嚥下食の分類の1つです。
若干の食塊保持能力がある方を想定した食事形態です。
言葉通り、見た目はムース状です。
元々の食材の形はしておらず、スライスゼリー状(薄い長方形)などに成形されています。
「嚥下調整食分類2018」とは?
「嚥下調整食分類2018」とは日本摂食嚥下リハビリテーション学会によって作成された嚥下食における分類方法や考え方の1つです。
正式名称としては「発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類 2018」と言います。
多くの食事形態の分類方法が成人の中途の摂食嚥下障害を想定している中、
「嚥下調整食分類2018」は、発達障害や脳性麻痺など重症心身障害児(者)の方を想定した嚥下食の分類です。
「ムース食」は「嚥下調整食分類2018」における副食の食事形態の1つに該当します。
「ムース食」の特徴
「嚥下調整食分類2018」における副食の分類では、「まとまりペースト」「ムース」「まとまりマッシュ」「軟菜」の4つがあります。
「ムース食」は通常食に近いほうから3番目ですから、4つの分類の中では比較的障害が重度の人向けであることがわかりますね。
「ムース食」と「まとまりマッシュ」はパッと見た感じはスライスゼリー状に成形された嚥下食として似ていますが、
「ムース食」は粒がなく均一な状態である点が特徴です。
また、より重度向けの「まとまりペースト」と比べると、
「ムース食」は軟らかい成形された食形態でありながら、切り分けることができ、切った際にもある程度は角が残せるなど程よい硬さのある食事形態であることがわかります。
これにより、
舌による押しつぶし運動を促します。
一方で、ペースト食と比べるとやはり形がしっかりしているので、
若干の食塊保持能力(すぐに飲み込むのではなく口の中で食物をキープできる力)が必要となります。
まとめ
「ムース食」は嚥下食の分類の1つです。
パッと見た感じは前後の段階である「まとまりペースト」や「まとまりマッシュ」に似ていますが、
粒がなく均一な状態でありながら、切り分けることができるくらいの硬さは保たれているのが特徴です。
若干の食塊保持能力があることが前提となります。
安全に食事摂取を行いながら、
同時に舌による押しつぶし運動を促し摂食嚥下機能の維持・向上を目指します。
その他の記事
参考資料
『発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類 2018』(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2019年5月15日検索
『医療検討委員会作成マニュアル』(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2019年5月15日検索
『『発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類2018』を活用するために』(栄養指導Navi)2019年5月15日検索
『食形態の分類』(栄養指導Navi)2019年5月15日検索