脳性麻痺児は歩くことができるようになるのか?
脳性麻痺を呈した場合、将来的に歩くことは可能なのでしょうか?
こういった先々の身体状況や機能を考えることを予後予測なんて言ったりしますね。
ひとくちに脳性麻痺と言ってもその症状や程度は様々で、予後予測は比較的難しいです。
しかしながら専門家による調査によると、
3歳までに首がすわり四つ這いが可能になったIQ80以上の症例、特に麻痺領域が対麻痺や片麻痺の場合は将来的に歩行が可能になるケースが比較的見られるようです。
以下、もう少し詳しく。
脳性麻痺児者の歩行機能の予後
リハビリテーション医学における脳性麻痺の予後を調査した論文によると、
- 3歳までに四つ這いができた症例の67.3%
- 3歳までに首すわりが可能になった症例の68.9%
- IQが80以上の症例の67.6%
が独歩が可能でした。
さらに麻痺領域に関しては、対麻痺や片麻痺の場合に独歩の可能性が比較的高い傾向があります。
脳性麻痺児者の自力移動の予後
続いてもう少し掘り下げてみます。
身体障害がある場合、自力移動が可能かどうかは重要な機能になります。
歩行が難しくても、たとえば四つ這いなど「自力移動」ができるか否かは日々の生活に大きく関わりますね。
同様の調査によると、
- 3歳までに肘立てができた症例の91%
- 3歳までに寝返りが可能になった症例の93.6%
- 3歳までに首すわりが可能になった症例の100%
- 側湾がない症例の92%
- 側湾があっても発症が12歳以降の症例の57.1%
が自力移動が可能な傾向がありました。
まとめ
脳性麻痺は人によって状況が様々ですから、1つの条件だけで正確な予後予測を行うことは困難です。
複数の条件を同時に踏まえて考えるのが無難です。
以上のように、
側湾がなく3歳までに首がすわり寝返りや肘立てができる症例の場合は自力移動が可能になる可能性が比較的見られます。
さらに、
麻痺領域が対麻痺や片麻痺であり、3歳までに首がすわり四つ這いが可能になったIQ80以上の症例は独歩が可能になるケースが比較的見られます。
あくまで目安ではありますが。
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参考資料
『脳性麻痺の長期予後予測』(J-STAGE)2019年6月4日検索