医療・福祉・療育コラム

発達障害児の療育の診察が数カ月待ちの理由

公開日:2019年5月24日


 
 

診察の予約が数カ月待ちな件

わりと全国的に、
子供の発達の遅れを指摘されて、診断あるいは療育を受けるために診察を受けたいと思っても、数カ月待ちで予約が取れない。
ということがあります。

子供にとっての1カ月や1年は貴重な時間で、ゆえにすぐに診察を予約できないことへのもどかしさを親としては感じてしまいますね。

こうった発達障害児の診察が混み合っている理由としては

  • 発達障害という言葉が社会で浸透してきつつある
  • 療育を行う医療機関が少ない
  • 療育の対象者が回転していない


などが挙げられます。

以下、もう少し詳しく。

 
 
 

発達障害児の診察と療育の実情

発達障害という言葉が社会で浸透してきつつある

これは文字通り。

「発達障害」や「自閉症スペクトラム」「ADHD」といった用語が一昔前よりずいぶんと社会に認知されてきました。

発達障害の人自体が増えているのか否かという統計的な話はまた別の機会にするとして、

昔なら「発達障害」という言葉を知らなくて診察に来なかったような人でも、今では来るようになってきたということです。

 
 

療育を行う医療機関が少ない

診察や療育を受けたい人の母数が増える一方で、療育を行う医療機関が少ないという問題もあります。

発達障害児の療育の関わるスタッフは例えば「作業療法士(OT)」や「言語聴覚士(ST)」などがあります。

いずれもリハビリに関する国家資格なのですが、
OTもSTも全体から見れば発達障害に関わる人材は少数派です。

多くのリハビリスタッフは病院で大人のリハビリをすることが多いので。

 
 

療育の対象者が回転していない

発達障害というのは「何かをすれば治る」という類いのものではありません。

そのため発達障害は生涯にわたって上手く付き合い方を考えていく必要があります。

保育園の頃には保育園の、小学校の頃は小学校の頃の対応というものがあります。

そのため、療育施設とは長い付き合いになることもあります。

つまり療育を受け始めると案外「卒業」がないものです。

入る人はいるけれど出る人は少ないという療育施設の実情が、発達障害児の療育を飽和状態にさせている面もあります。

このような現状に対し、昨今の療育施設は「療育は幼児期まで」などのように年齢制限を設けることで対応しています。

しかしながら、先述のように「発達障害」はその年齢その時期の課題がありますから、「じゃあ療育施設に通うことができなくなったらどこに相談すればいいの?」という親御さん目線の問題もあります。

 
 
 

まとめ

以上のようになかなか難しい現状である療育ですが、

個人ができることとして
「子供の発達で気になることがあったら些細なことでもいいので早めに相談する」
といったことは大切と思います。

 
 
 

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