食事の際のあいさつである「いただきます」や「ごちそうさま」。
日本特有の文化であるこれらの言葉ですが、子供は何歳くらいで「いただきます」「ごちそうさま」を言えるようになるのでしょうか?
ここでの「いただきますを言える」とは、子供が親の言葉を意味もわからず真似するのではなく、子供が状況を判断して自発的に「いただきます」・「ごちそうさま」を言えることを指します。
【「いただきます・ごちそうさま」は3歳頃】
親自身が習慣的に行い、また子供にも言うことを促していた場合とします。
子供が自発的に「いただきます」「ごちそうさま」を言えるようになるのは概ね3歳頃です。
スムーズなお子さんなら2歳台に言える子もいるでしょう。
補足記事:【小児発達】およそ3歳でできること
【「いただきます」「ごちそうさま」という言葉】
言葉にはその性質によりいくつかに分けられます。
一つは相手に何かを要求する言葉。
「ちょうだい」「買って」「来て」などです。
もう一つは自分に向ける言葉です。
「どっこいしょ」「よいしょっ」などです。
そして相手と何かを共感する言葉です。
「きれいなお花だね」「おやすみなさい」などです。
どの言葉がどの種類というのではなく、言葉の性質は状況により変わります。
「見て!」という言葉は、相手に何かを見てほしいという要求的言葉である一方で、ある場面では自分が見たものを相手にも見てほしいという共感的な要素が強い言葉になります。
要求に関する言葉が、最も即物的で使いやすい言葉です。
他者と共感する言葉は要求以上に認知面の発達が必要です。
「いただきます」や「ごちそうさま」を言わないと絶対食事を与えないようなご家庭は別ですが、一般にこれらの言葉は挨拶的な意味合いが強い言葉です。
ただ食事が欲しいだけなら「ご飯ちょだい」と言って食卓に出てきたものを食べればいいのですから。
子供が「いただきます」や「ごちそうさま」を言えるようになるということは、他者とのコミュニケーションの質が上がっていることを示すのです。
【発音の面ではまだ不十分】
上記のように、本質的な意味として「いただきます」「ごちそうさま」を言えるのは3歳頃です。
しかし滑舌となると、きれいに「いただきます」「ごちそうさま」と発音できるのは5歳前後あるいは4歳台でしょう。
日本語の音は「さしすせそ」が子供にとって最も難しい音です。
もちろん個人差はありますが。
「さしすせそ」が言えるようになるのは概ね5歳前後です。
補足記事:子供の発音は何歳まで様子を見て、何歳から練習させたほうがいいのか?
そのため3歳前後は「いただきまちゅ」など不完全な発音になるでしょう。
【「いただきます」「ごちそうさま」は言わせないといけない?】
「いただきます」「ごちそうさま」が言えることは、子供の成長の目安の一つですが、必ず言わせないといけないわけではもちろんありません。
ご家庭の教育方針によるところではあります。
【心のやりとりが大切】
3歳頃のお子さんは、ままごと遊びなども始めます。
人と人との関わりをイメージできるようになりつつあるのです。
「ご飯ちょうだい」と子供が言って親がご飯をあげるといった言葉が要求の道具でしかない時期から、
言葉で相手と自分の気持をのやりとりするというコミュニケーションの変化が出てくるのです。
親子で感情を共感し合うことは子供の成長にとってとても大切なことです。
子供が「いただきます」と言えば、親は「おいしそうだねー」と食事の場面で会話を楽しみましょう。
「ごちそうさま」と言えば「おいしかったね」や「全部食べてくれてうれしいなあ」と自分の気持ちを伝えてみましょう。
日常の何気ないやりとりが、子供の情緒面を発達させるのです。
補足記事:0歳~6歳の話し言葉の発達
補足記事:0歳~6歳の言葉の理解