前のページ
助詞「を」と他動詞の関係
前回のページで言葉の発達における助詞「を」の位置付けを見ていきました。
このページでは、助詞「を」と動詞の関係を見ていきます。
助詞「を」を含む文の難しさは、他動詞の性質が影響すると考えられます。
解説
他動詞とは?
(国語の知識は深堀すると煩雑なので、ここでは例外を承知でかなり端折って見ていきます)
動詞には、自動詞と他動詞があります。
主に主語に付いて「~が」「~に」などのあとに続くのが自動詞です。
主に目的語について「~を」のあとに続くのが他動詞です。
例えば「始まる」は自動詞で、「始める」は他動詞です。
「授業が始まる」(自動詞を使った文)
「授業を始める」(他動詞を使った文)
つまり、助詞「を」を用いる文は、おおむね他動詞が使われると言えます。
ペアの有無
動詞には、自動詞・他動詞がペアで存在するものと、片方しかないものがあります。
ペアで存在するものは例えば「始まる・始める」などです。(有対自動詞・有対他動詞)
自動詞しかないものは「走る」などです。(無対自動詞)
他動詞しかないものは「叩く」などです。(無対他動詞)
例えばペアが存在する動詞は、状況によってそれを使い分け、適切な助詞を組み合わせる必要があります。
ペアが存在しない動詞は、そういった使い分けの判断が不要になります。
このような点から、助詞「を」を用いる場合、そこに付く動詞が「有対他動詞」「無対他動詞」かは難易度に影響すると考えられます。
可能動詞について
無対他動詞の中には、(ペアの自動詞はありませんが)可能動詞があるものがあります。
可能動詞とは、「~できる」の意味を持つ動詞です。
例えば「書く」という他動詞には「書ける」という可能動詞があります。
「男の子が書く」という文は、無対他動詞ですが対応する可能動詞を持つ文と言えます。
まとめ
以上よりまとめです。
助詞「を」を使う文はおおむね他動詞が用いられます。
このとき、有対他動詞を使っているのか無対自動詞を使っているのかで助詞の使用に際する難易度が変わります。
傾向として、有対他動詞を使った文のほうが助詞「を」の使用の難易度は上がると考えられます。
これを踏まえ、次のページで実際に助詞「を」を使用した文のパターンを見ていきます。
次のページ
参考資料
斉藤佐和子(2002)『健常幼児の格助詞と態の表出 ―構文検査 (斉藤私案) を使用して―』(日本音声言語医学会)2025年12月28日閲覧
池弘子(1982)『助詞の習得過程』(一般社団法人 日本教育心理学会)2025年12月31日閲覧



