喉頭気管分離術とは?
喉頭気管分離術とは、文字通り喉頭と気管を分離する手術のことです。
摂食嚥下障害に対して行われる手術の1つです。
摂食嚥下障害と喉頭気管分離術
食べることや飲み込むことの障害である「摂食嚥下障害」。
摂食嚥下障害の主なリスクは、誤嚥による窒息や肺炎です。
誤嚥とは唾液や飲食物が食道ではなく気道、つまり気管に入ってしまうことです。
人は本来、空気は気道へ、食べ物は食道へと入り口を切り替えて口から体内へ入っていきます。
摂食嚥下障害の場合、この気道と食道の入り口の切り替えがうまくできなくなります。
切り替えがうまくできないなら、気道は頸部に穴を開けて直接つなぎ、口からの経路は食道だけにする。これが喉頭気管分離術です。
喉頭気管分離術のメリットとデメリット
喉頭気管分離術のメリットは経口摂取による誤嚥のリスクがなくなることです。
デメリットは、頸部に空気を吸うための穴が開くことと、口や鼻に空気が通らなくなることです。
「口や鼻に空気が通らなくなる」とどんな状況になるのでしょう?
まず気道による発声ができなくなります。
そのため食道発声などの代替手段を使う必要が出てきます。
いずれにせよ術前と同じ声質を保つことは難しいでしょう。
そして嗅覚がかなり低下します。
鼻呼吸ができなくなるためです。
また、口で呼吸をしないということは口で息を止めることができないので、「いきむ」ことができなくなります。
おわりに
喉頭気管分離術は摂食嚥下障害に対する手術の1つです。
実際としては脳性麻痺などの
重症心身障害児の接っ食嚥下障害に対する手術としてしばしば行われます。
発声機能を喪失したり、頸部に穴が開いたりと実生活における変化もかなり大きい手術なので、判断は医師とご家族にて慎重に行います。
また喉頭気管分離術により誤嚥という観点では食事は以前より行いやすくなるかもしれませんが、口呼吸ができないので息を吹いて熱い物を冷ましたり、麺をすするなど呼吸に関連した食事動作が難しくなります。