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モンテッソーリ教育における物理的環境の工夫
モンテッソーリ教育は物理的な環境設定を重要視している点が特徴の1つです。
モンテッソーリ教育における物理的環境設定の工夫は具体的には以下の要点が考えられます。
- 子供サイズである
- フィードバックを与える
- 内発的な活動を考慮する
- 活動の動機付け
- 興味の継続
- 集中した活動の促し
- 本物の性質を備える
- 魅力的で豊か
以下、それぞれ見ていきます。
解説
子供サイズである
モンテッソーリ教育では、子供の体格・体力・理解力を考慮した道具を設定することが推奨されています。
これは例えば子供が運べる軽さの椅子、子供が外を眺めるための適切な高さの窓などがあります。
フィードバックを与える
物理的な環境からフィードバックを得られるような工夫をします。
従来の教育では子供にフィードバック(誤りに気づく機会)を与えるのは教師でした。
これを物理的環境から得られるように工夫します。
色が淡い椅子やテーブルであれば、子供が汚れに気づきやすくなり掃除の仕方や汚しにくい使い方を学ぶきっかけとなるかもしれません。
内発的な活動を考慮する
モンテッソーリ教育では子供が活動するための環境設定を重要視しますが、その根底には子供が自らやってみようと思えることが大切です。
つまり内発的な活動を子供が行えるよう、環境設定を工夫します。
教具や環境は子供にとって難しすぎず簡単すぎず、興味をそそるものにします。
活動の動機付け
子供が活動したいと自ら思えるように、モンテッソーリ教育では教具の「美しさ」と「手を使って活動できること」を重視します。
興味の継続
子供が興味を持って繰り返し活動できるよう、教具を工夫します。
例えばただ見るだけの教具ではなく、子供が自ら手に取って扱える、長く興味をひきつける物などを考慮します。
集中した活動の促し
教師は子供達を観察し、子供達が集中して使用する物だけに教具を吟味していきます。
また、教具だけでなく、保育室や園庭など環境自体も配慮していきます。
本物の性質を備える
先述のようにモンテッソーリ教育における教具は子供サイズが原則ですが、同時に教具は「本物」でなければありません。
例えば野菜を切る活動を行うときに使う包丁は、子供が扱いやすいサイズで先が丸い物かもしれませんが、あくまで野菜が切れる本物の刃物です。
このように、子供に本物で実用的な体験をしてもらいます。
教具に「本物」を使うことは、子供の興味を促す要因の1つでもあります。
魅力的で豊か
子供達が活動する空間は「魅力的で豊か」であることも大切にします。
これにより子供達の興味を促します。
具体的には、(活動に差支えがない範囲で)花や絵画の装飾、テーブルクロスなどの使用も好ましいでしょう。
家具に多様性を持たせることで、活動空間に対して興味を持ってもらいます。
ただし、美的な配慮と子供の活動に矛盾が生じた場合は、あくまで活動を優先します。
全体の解説
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『子どものための物理的環境とは何か モンテッソーリ教育の場合』(人間環境学研究会)2022年6月25日検索
『日本モンテッソーリ教育綜合研究所』2022年6月25日検索
『モンテッソーリ教育から学ぶこと』(安全工学会)2022年6月25日検索